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「即ち、この家さ。彼は人知れずここに緑林荘を作って、それへ隠したのさ」
「え、え」私は思わず部屋の中を見廻しました。
「もう探しても遅いよ。わしがちゃんと見つけたよ」
そう云って手塚は大口を開いて、ニタニタと妖婆のように笑いながら、いつの間に持っていたか、古い革袋のようなものを取り出して、ザラザラと床の上にあけました。
おお、夥しい緑の財宝! サファイヤ、
(「新青年」昭和三年十二月号)
「即ち、この家さ。彼は人知れずここに緑林荘を作って、それへ隠したのさ」
「え、え」私は思わず部屋の中を見廻しました。
「もう探しても遅いよ。わしがちゃんと見つけたよ」
そう云って手塚は大口を開いて、ニタニタと妖婆のように笑いながら、いつの間に持っていたか、古い革袋のようなものを取り出して、ザラザラと床の上にあけました。
おお、夥しい緑の財宝! サファイヤ、
(「新青年」昭和三年十二月号)