コンテンツにスキップ

Page:Issennen no rekishi wo tsukuran.pdf/39

提供:Wikisource
このページは検証済みです


 當時のワシントン駐箚ポーランド公使ポトツキ伯爵が、同國政府に齎らした報吿なるものは公文書であるが、これによればこの一人物及び彼を使嗾する背後勢力こそ第二次世界大戰の全責任を負ふべきものであることが驚くほど明瞭に判然として來る

 次に起る疑問は、如何なる理由でこの人物が今まで全歷史を通じてアメリカは勿論、彼自身に對しても何ら危害を加へなかつた一國に對し、かくも狂信的な敵性を抱くに至つたかといふことである。この一國即ちドイツのアメリカに對する態度に關しては次の如く斷言出來る

 第一に、ドイツこそは恐らく、南北兩米大陸に於て未だかつて一箇所も植民地を領有せざりしは勿論、政治的にも何ら活動を起した事のない唯一の國家である。況んやアメリカ移住のドイツ人は犧牲的に働いたのであつて、アメリカ大陸、特にアメリカ合衆國はこれと協力しながら只利益のみを得たのである。

 第二には、ドイツ國は合衆國建國以來現在に至るまで一度として政治上非友誼的態