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度――況んや敵性態度――を採つたことがなく、其の多數の息子達の血を以てアメリカの防衞に協力して來たのである。

 第三には、ドイツ國は未だ曾て合衆國を敵とする戰爭に自發的に參加したことがない。寧しろアメリカこそ一九一七年には戰禍をドイツに及ぼしたのである。然もその理由たるや、ルーズヴエルト現大統領が此の問題檢討のため自身で設立した委員會によつて餘すところなく明かにされたものである。一九一七年のアメリカ參戰の理由が專ら若干少數財閥の資本主義的利益に基いたこと、並びにドイツにしてはアメリカと係爭する意圖など毫も有してゐなかつたことを、最も完全に確かめたのが意外にもアメリカの參戰理由を解明する爲に設立された、この調査委員會であつた。それでなくともアメリカ民族とドイツ民族との間には領土的又は政治的性質を帶びたものにしろ、およそ合衆國の利益は素より、況んや生存を脅かすが如きものについても毫も對立は介在しないのである。成るほど國家形式の相違は一般に諸民族生活に於ける敵性の原因とは解し得ないのであつて、一國の國家形式が必然に附與された自己の領域の圈外