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 余は英下院の報吿を通じ又ドイツ國境にソ聯軍が移動せる事實を看取して東部に於ける危機勃發の可能性を確認したため新銳な戰車、機械化及び步兵部隊を配備する樣直ちに命令を下した次第である。これが前提をなしたのはドイツが人的に又物質的に尙ほ充分能力を保有してゐる事であつた。議員諸君! 之は余が諸君並びに全ドイツ國民に向つて敢へて保證し得るところである。

 過去に於ては民主主義諸國に於ても吾人の容易に理解し得る如く軍備に就ては種々論議されてゐたが、その間に我國民社會主義ドイツは着々と軍備を整へたのである。此の點は過去も現在も何んら變らない。我々は一度決定が下されれば、いつもより多い又より優秀な武器を得る事が出來る。

 如何なる場合も敵をして我心臟へ始めの一擊を與へしめざる事が緊要であると如何に確認してもこの場合ソ聯に對し決心をなすのは余にとつて極めて困難であつた。民主主義的新聞記者は余がボルシエヴイキの力を精神に知つてゐたならば恐らくソ聯に對し攻擊を開始し得なかつたであらうと現在往々論じてゐるがこれは當時の情勢と