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Page:Iki-no-Kozo.djvu/99

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五 「いき」の藝術󠄃的表現

 「いき」の藝術󠄃形式の考察に移らなければならぬ。「いき」の表現と藝術󠄃との關係は、客觀的藝術󠄃と主觀的藝術󠄃とによつて表現の仕方に著󠄄しい差異がある。およそ藝術󠄃は、表現の手段によつて空󠄃間藝術󠄃と時間藝術󠄃とに分󠄃け得る外に、表現の對象によつて主觀的藝術󠄃と客觀的藝術󠄃とに分󠄃け得る。藝術󠄃が客觀的であるといふのは、藝術󠄃の內容が具體的表象そのものに規定される場合である。主觀的であるとは、具體的表象に規定されず、藝術󠄃の形成原理が自由に抽象的に作動する場合である。繪畫、彫刻、