Page:Iki-no-Kozo.djvu/140

提供:Wikisource
このページは検証済みです

術󠄃形式は、平󠄃面的な模樣󠄂および立體的な建󠄄築に於て空󠄃間的發表をなし、無形的な音󠄃樂に於て時間的發表をなしてゐるが、その發表はいづれの場合に於ても、一方に二元性の措定と、他方にその措定の仕方に伴󠄃ふ一定の性格とを示してゐる。更󠄃にまたこの藝術󠄃形式と自然形式とを比較󠄃するに、兩者󠄃間にも否む可らざる一致が存してゐる。さうして、この藝術󠄃形式および自然形式は、常に意識󠄂現象としての「いき」の客觀的表現として理解することが出來る。卽ち、客觀的に見られる二元性措定は意識󠄂現象としての「いき」の質料因たる「媚態」に基礎を有し、措定の仕方に伴󠄃ふ一定の性格はその形相因たる「意氣地」と「諦󠄂め」とに基礎をもつてゐる。かくして我々は「いき」の客觀的表現を、意識󠄂現