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この人は、ある特定の商品や人物、ブランドの宣伝のためにウィキペディアで編集しています。もっぱら、それがこの人の仕事の一部だからという理由で。仕事以外でウィキペディアに貢献したことはまったくありません。宣伝したいテーマのページを作成し、それらが荒らされていないかを確認しています。その手のウィキペディアのページを作成することは、[訳注:売りたい商品を]広く知られるようにし、ポジティブなイメージを維持するためには重要なことです。

自発的にウィキペディアに貢献している人がいるのを見て驚いた。私には彼らが理解できません。私は自分の仕事だからやっているだけです。

Kana, ステルス・マーケッター

この人は、匿名[訳注:IP編集のこと]で編集しています。理由は、仕事で毎回ログインするのが面倒だからです。ユーザーアカウントをとって頻繁にページの編集をすると、ページにユーザー名の記録が残るのでステルス・マーケティングの一形態として、匿名編集のほうが[訳注:目的外利用者だと]わかりにくいというのもあります。ホビイストや現実主義者と同様に、IPアドレスが公開されることで自分のプライバシーに直接害が及ぶとは考えていません。加えて、加筆した記事に自分の名前がクレジットされる必要を感じていません。それは、もっぱらこの人が仕事として加筆しているからで、加筆にはこだわりなどないのです。

結論

インタビューした編集者たちは、IP編集が荒らしの主たる源の1つであることを認めてはいますが、その中の[訳注:インタビューした]IP編集者たちは、IP編集があるからウィキペディアに貢献することが出来ると強く感じていました。彼等は、自分のIPアドレスが公開されることで生じるプライバシーのリスクには、無頓着でした。

ログインユーザーでもIP編集者でも同様に、コミュニティーで生じる対立は極めてストレスのかかるものです。ログインユーザーがIP編集に切り替えたり、編集をまったくやめてしまうこともあります。しかしながら、ウィキメディア[訳注:財団]が日本のIP編集者をサポートする方法を見つけることができるなら、日本語版ウィキペディアが堅調に拡大・発展していくことは確かでありましょう。

(了)

追加引用

Q:コミュニティに参加するようになった理由は何ですか。

「私は記事をいくつも新規作成していますが、他の人が書いた記事にコメントはしません。議論には参加したくないのです。」

「オンライン、オフライン共にウィキペディアのイベントに参加しています。編集するだけでは、記事の背後にいる人たちのことはわかりません。 記事の裏にいる人たちについてもっと知りたかったのでイベントに参加するようになりました。