中つ。爲朝大に怒りて、二十八騎と門を闢きて突出す。政家辟易して退き走る。義朝、二百騎を以て之に馳す。呼びて曰く、「吾れ宣旨を奉じて來る。汝盍ぞ速に降らざる。乃、弓を其兄に彎ゐんせんくや」と。爲朝曰く、「判官公院宣を受けて、爲朝等をして拒戰せしむ。且弓を其兄に彎くと、刃を其父に推すと、孰與ぞや」ど。因りて大に戰ふ。
義朝、馬を莊嚴院の門に立つ。爲朝之を望見して箭を注く。既にして之を舍てゝ曰く、「父此に在り。兄彼れに在り。焉ぞ其潜約する所ありて、勝敗互に相救護せざるを知らんや」と。乃、鳴鏑を注け、願て家季に謂て曰く、「吾れ且