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日本外史は日本の戰史なり武士道史なり内容斯の如くなるに山陽先生の識と文とを以てす宜なり此書の洽く行はるゝ事や凡そ我が戰史中源平二氏の鬪爭の如く派手なるものはなく南北朝史殊に楠公殉難の如く人をして勤王心を勃興せしむるものはなく群雄割據時代史の如く武士道の眞味の知らるゝはなく豐太閤の偉略の如く人をして快哉を呼ばしむるものはなし此書は實に是等の記事を種々の方面より觀察し評論しある處は長詩の如くある處は戱曲の如く最も趣味に富みたる筆力を馳せて自在に縱橫に叙記せられたれば讀む人知らず先生に魅せらるゝに至る先生は實に識と文とを以て數世の後まで人を痲痺せしむるものなり