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攻む。通信遁れて安藝に走り、緒方維義をがたこれよしと合し、東して備前に入り、今木城に據る。敎經、赴き攻め、一晝夜に之を㧞く。宗盛帝に奏して、敎盛を正二位大納言に進む。辭して拜せず。

東軍來り攻む是時、賴朝の二弟範賴のりより義經よしつね、義仲を討ちて之を殺し、終に院宣を以て、大擧して來り攻む。關東の將士悉く之に從ふ。期を刻して會戰す。知盛、重衡、東門を拒ぐ。貞能等、西門を拒ぐ。而して資盛、有盛、師盛等、兵七千をて北山を守る。義經、高騎を以て夜之を襲ふ。我が兵大に敗走す。資盛之を愧ぢて、獨、屋島に奔る。宗盛諸將をして之に代らしむ。皆往くを憚る。敎盛之に當らんと請ふ。即夜、通盛、盛俊と、往きて北山を守る。範賴、東門に至る。土肥どひ實平さねひら等西門に至る。藤原景淸ふぢはらかげきよつとめて西門を拒ぐ。敵入る能はず。重衡重衡、知盛、又東門の敵を擊ちて之をしりぞく。已にして、義經間道より來り襲ひて、火を縱つ。城つひに陷る。重衡、西に走る。東人莊家長しやういへなが追ひて其馬を射る。馬たふる。其騎、副馬に騎る。重衡呼びて之を取らんとす。騎聞かざるまねして走る。重衡自殺せんと欲し、遂に家長にとらはる。忠度忠度も亦岡部忠澄おかべたゞずみに追る。忠度紿あざむきて曰く、「吾は東兵なり」と。忠澄曰く「帽して齒を𣵀する者は、東兵に非るなり」と。忠度返り鬪ひ、忠澄を