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Page:Gunshoruiju27.djvu/372

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うちわするもあり。みなたうとがりてあつまりたるも。れいの心ならば。いかにはぢまどはむとみゆるにいとおし。身づからの身は。くるしからぬ事といひながら。わびなさたるかほの心ぐるしげなるを。つきびとのしる人などは。いとおしう思ひて。木丁のもとちかくゐて。きぬひきつくろひなどす。かゝるほどに 虫ハミおはしますに。御ゆなどいへば。北おもてへとりにゆくほども。わかき人どもは。心もとなくゆかしくて。はむをひきさげながらぞいそぎて見るや。ひとどもいときよげにて。うす色のもなどいといたうなへがかりてはあらずめやすきほどなり。さるの時ばかりまでいみじうてうぜられて。ことはりなどいはせつればゆるしつ。木丁のうちにとこそ思ひしか。あらはにいでにけるかなといひて。はづかしといみじう思ひたり。かみをふりかけてすべりいれば。しばしとゞめて 虫ハミすこしして。いかにぞさはやかにおぼえさせ給にやとてうちえみたるも。心はづかしげなり。しばしもさぶらふべけれど。ときのほどになり侍ればとて。いそぎていでぬ。いとうれしうたちよらせ給へるしるしにたへがたうおもふ給へつるに。たゞいまをこたるやうに侍れば。返々なむよろこびきこえ。さすがあすも御いとまのひまにものせさせ給へなどいはす。いとしうねき御もののけに侍めり。たゆませたまはざらんなむよく侍べき。よろしうものせさせ給めれば。よろこび申侍になんとばかりことすくなにていへるは。いとしるしありて。佛のあらはれたまへるとこそはおぼゆれ。きよげなるわらはべのちいさくてかみうるはしき。又おほきなるがひげおひたれど。思はずにかみながきうらゝ本ノマヽちがみむくつけくなる