Page:Gunshoruiju27.djvu/358

提供:Wikisource
このページは校正済みです

のぢんのもとに殿上人あまたたちて。とねりのゆみどもをとりて。むまどもおどろかしわらふもあり。はづかに見いれたれば。たてじとみくすどの藥殿など。わつかにみえて。とのもづかさなどのゆきちがひたるが。ほのかにみえたるいとおかし。いかばかりなる人。こゝのへをかくたちならすらむと思ひやらるかし。八日は。人のよろこびしてはしらするくるまどものをと。つねよりことにきこえていとおかし。十日のほど。そらの氣色は雲のあつくみえながら。さすがに日はけざやかにさしたるに。ゑせものの家のあらはたけなどいふ所にちいさやかなるももの歟ゝきのあるが。わかたちのつらゝかにさしたるをうづちにきらむなどいひて。わらはべのさはぐをみれば。かたがたはいとあをく。いまかたつかたはこくつやゝかにて。すはうのやうにみえたるこそいとおかしけれ。人のこどねりなどにやあらむ。ほそやかなるわらはのかり衣はこゝかしこかけやりなどして。かみうるはしきがのぼりたるに。又こうばいの衣しろきなどひきはへたる。おのこゞにはにきて。はう火はきたるなど。二三人木のもとにたちてきて。きりていてなどこふに。又かみおかしげなる女わらべなどのあこめのほころびがちなるはかまの色よきが。なよゝかなるなどきたるも。三四人などいできてうづちの木のよからむきりでおろせなど。おまへにもめすぞなどいふに。おろしたれば。我まづおほくとらんとはしらかいたるこそおかしけれ。くろばかまきたるおのこのはしりきて。われにとこふに。とらせねば。よりて木のもとをひきゆるがすに。あやうがりて。さるのやうにかいつきておめくもおかし。梅のなりたるおりなどもさや