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Page:Gunshoruiju27.djvu/194

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になして。慈悲の心をつけ給へ。げに〳〵思なをらずは忽に冥罸をあたへ給ふべしと也。ふたゝびすなをなる世に立かへらば。今生の願滿足して後世までも名將軍といはれん事。人間の思出是に過べからず。倂大菩薩の御はからひに有べしと。每日に朝とく御手を洗。御口を灌ぎ給ひ。南方に向せ給ひて。至誠心に御祈念有べし。神明世にましますものならば。などか納受し給はざらん。此御心中の趣。世にかくれなくは。つたへ承ものも一たびは神慮に恐をなし。一たびは武威を辱思ひて。諸守護の心向もをのづから持なをして。文明一統の天下に成べきこと掌をさすがごとくなるべし。

一孝行を先とし給べき事。

高きも卑きも父母なきものはなし。父母の恩の重きことをいふに。釋尊の內敎。孔子の外典にも此ことを說給へり。佛の敎には。左のかたに父を荷ひ。右のかたに母を荷ひて。每日に須彌山をめぐるとも。此恩はなをむくひがたかるべしと說給へり。孔子の敎には。身體髮膚は父母にうけたり。敢て毀ひ傷らざるを孝のはじめといへり。たとへば子たるものの我身は親のあづけたるものなれば。いかにも身を愼て。疵かたわもつかぬやうにふるまはむが孝行の道なるべし。其故は子の身に病つゝがもあれば。親は愁かなしむものたるによりて。よく身をつゝしめば。おやのうれひをなさゞるによりて孝行とは成もの也。次に父母の過ち有時は。子たるもののいさめざるも。又不孝の罪なるべし。其あやまちあらん時は。いかにも機嫌をとり。言葉をやはらげ。色をよくして。敎訓をいたすべき也。それにもかゝはらずは。なきくどき。そら腹立をし