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Page:Gunshoruiju27.djvu/178

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りは。十年には過侍らず。そのうちになにごともたしなむべし。十ばかり十四五までは。眞實物の興もなく侍也。四十五十になりぬれば。又心鈍になりて。よろづ物ぐさきほどに。はか〴〵しきけいこもかなはず。十八九より三十ばかりまでのことなれば。物をしとゝのへておもしろき根源に至事は。ただ十二三年に過べからず。不定の世界には。とくけいこすべきなり。

一人の世にすむは。十に一も我心にかなふことはなき習なり。一天の君だにも。おぼしめすまゝには。わたらせ給はぬなるべし。それに我等が身ながら心にかなはぬ事をば。いかゞして本意をとをさんとせんには。終に天道のいましめを蒙るべき也。すべて人每にきのふ無念なりしかば。けふその心をさんじ。去年かなはざりしかば。今年其望を達せんとおもふまじき也。さらぬだにも塵のごとくなる心を相續して。念々ごとになす身。いよ〳〵望を忘すべし。怨を殘さん事口惜きねぢけ人なるべし。佞人とて世法佛法にきたなきことに申也。人每に我執をおこしわするまじきには。心みじかくよは〳〵しき也。打拂ふて心にとゞむまじきやうなる事には。餘念をおこすこと也。あひかまへて〳〵萬のことに人をもとゝして。あざむく事有まじき也。戰ふことには。おほけなくとも心をたかく持て。我にまされる剛の者あらじとおもひつめて。人の力にもなり。人をもたのもしきと思ふべき也。いかに心やすき人と云とも。生得臆病ならん人に。戰の事尋まじきなり。大事なればとて。さし當たるわざをのがれんとすまじきなり。やすければとてすまじからん戰をすゝむまじきなり。凡合戰はやすかりぬべき時