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Page:Gunshoruiju18.djvu/776

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 いと毛なる具足をかけて鐵炮の玉にもぬける一つ柳か

同一如院よりにら山居陣のうちに。

 陣衆のこまかなふみはいつの國みしまこよみと聞きてそ見る

かへし。

 やる文の月日をえらへ大小のあるをみしまのこよみにはして

おなじ所より。

 山の名の睨みあひたるせめ衆よ忍辱慈悲にひかせてもたへ

かへし。

 ひかせえすもみ落すへき韮山は手をすりこきの音のみそする

五月十一日。鎌倉見物のためまかりける道に。大磯といふ所にしばとゞまりて。こよろぎの磯を立所の人に尋けるに。この所のよしこたへ侍るに。釣舟のおほくうかみて見えければ。

 みるかうちに磯のなみ分こよろきの沖に出たる海士の釣舟

十二日。かまくらを見侍りしに。かねておもひやりしにもこえてあれたるところなれば。

 いにしへのあととひ行は山人のたき木こるてふ鎌倉の里

上總國昨夢齋陣中切々訪來。付興行。六月廿二日。

 まつによゝは千くさのはまやあきの浪

古織より角田川見物の時歌など讀たるよし文を送られける返事に。

 都より心に人のかけすゝりうたよみてする角田川かな

水無月晦日。御祓する日と人々申せしかば。早川陣取の山の麓なり。名寄に名所のよしあり。

 みそきせし袖こそぬるれ老のなみうつる月日も早川のせに

七月十五日。相わづらふにつきて御いとま也。歸陳には甲州どをりと思ひ侍りて。あしがら山をこえて。竹の下といふ里にとまり侍りぬ。

 あしからの關吹こゆるあき風のやとりしらるゝ竹の下道

十六日。甲斐の內河口といふ所にとまりて。曉ふかく御坂をこえて甲府につく。その道に黑駒と云所あり。

 ときのとき出へきさいをまつ一首あへてふるまふかいの黑駒