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Page:Gunshoruiju18.djvu/760

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に着ぬ。思ひやればかぎりなき日の本をもなかばばかりをめぐり來にけることとおどろきて。

 なには江の道にひかれて遙なる豐あし原も廻りきにけり


九州のみちの記

豐臣勝俊朝臣


大相國もろこしかたむけさせたまはむとて。天正のすゑつかた筑紫に御出有べきよし事さだまりにければ。日の本の兵のこらず供奉す。みづからも。む月の中の五日頃に京をおもひ立なむとしはべりけるに。人のもとよりおむぞ調じて給ふとて此二首をなむくはへられたりける。

 玉鉾のみちの山かせ寒からはかたみかてらにきなむとそ思

 あまたにはぬひかさねゝと唐衣思ふ心はちへにそ有ける

彼おむぞ。えならぬものがたりのこゝろを筆のかぎりうつくしくかきて。とる手もくゆるばかりにほひたきしめられたり。かへし。

 きみならて道の山風さむしとも誰かいとはむ旅の空まて

 心さし深きいろかのから衣かへすもかたみとやみむ

かゝる情のありがたさよと。あるはなみだのふるきわざまでおもひよせられ侍る。さて須