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Page:Gunshoruiju18.djvu/640

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 瑞籬やしたつ岩ほに松かねのたてるも神の力とそみる

おなじ所にて。

 吹おろす嶺のあらしもまきれ行ひゝきや谷の戶かくしの山

十六日に。又快藝の山室にとまりぬ。あるじの志も打をきさまならず。いよ懇にみえ侍ければ。

 木のもとの路の情もほさぬまにおなし宿かる旅衣かな

十七日の夜のとまり。府中の海岸になれり。あまのや笘屋のあばらなる月。隈なくさしのぼりぬ。五更の西の空うつろふ末は。古鄕の空にやかゝりきと思ひ送りて。

 契りをけおなし越路の末の露月もやとれる草の枕に

おほくの雲霧を過〈分イ〉て。越中東北の海陸までさすらひうつりき。廿一日にはことに蒼弯高くはれて。曉より起ゆく。路の有にぞ任はべりぬる。早槻川はいづくぞと云に。いひ明らむる人もなくてやみぬ。今此所をとふに。大河と見えし河有て。水ほそく海中にながれ落て。殘る月あはれにしづむ。

 やとる影きゆれはなのみ有明のはやつき河の波の上哉

遠き所も限あれば。いつしかと本國の境地になりぬ。他鄕のいづくはありとも。我常にあふぎ奉る白山の御影よりいや高き所はあらじかしとおぼえ侍るに付て。雲のうへにうかびて碧落のはだへあざやかに見え・〈侍イ〉しかば。

 立かへりあふきてそみる忍ひこし程は雲ゐのうへの白山


右一卷續扶桑拾葉集挍合畢