宮のすけ。かゝいしたる侍從宰相。つき〳〵の人舞踏す。宮の御かたにいらせ給て程もなきに。夜いたうふけぬ。御こしよすとのゝしれは出させ給ぬ。又のあしたに內の御つかひ。朝霧もはれぬにまいれり。うちやすみすくして。みすなりにけり。けふそはしめてそひ奉らせ給。殊さらに行幸の後とて。又の日宮の家司。別當。おもと人なと。しきしさたまりけり。かねてもきかて。ねたきことおほかり。日比の御しつらひ。れいならす。やつれたりしをあらたまりて。御前のありさまいとあらまほし。とし比心もとなく見奉り給ける御ことの。うちあひてあけたては。との。うへも參り給つゝ。もてかしつき聞え給ふ。にほひいとこゝろことなり。くれて月いとおもしろきに。宮のすけ。女房にあひて。とりわきたるよろこひもけいせさせんとにやあらむ。妻戶のわたりも。御ゆとのゝけはひにぬれ。人のをともせさりけれは。このわたとのゝひかしのつまなる。宮のないしのつほねにたちよりて。こゝにやとあないし給。宰相は中のまによりて。またさゝぬかうしのかみをしあけて。おはすやなとあれと。いてぬに。大夫のこゝにやとの給にさへ。きゝ思はんもこと〳〵しきやうなれは。はかなきいらへなとす。いとおもふことなけなる御けしきともなり。我御いらへはせす。大夫を心ことにもてなしきこゆ。ことはりなからわろし。かゝる所に上臈のけちめ。いたうはわくものかとあはめ給。けふのたうとさなと聲おかしううたふ。よふくるまゝに月いとあかし。かうしのもととりさけよとせめ給へと。いとくたりてかむたちめのゐ給はんも所といひなからかたはらいたし。わかやかなる人こそ。ものゝほとしらぬやうにあさへたるも。つみゆるさるれ。なに