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らの土と成にけりと見ゆるにも。顯基中納言の口ずさみ給へりけん。年々に春の草のみ生たりといへる詩思ひいでられて。是も又ふるきつかとなりなば名だにも殘らじとあはれ也。羊太傳が跡にはあらねども。心ある旅人はこゝにもなみだをやおとすらむ。かの梶原は將軍二代の恩に憍り。武勇三畧の名を得たり。かたはらに人なくぞみえける。いかなることにかありけん。かたへの憤ふかくして。たちまちに身をほろぼすべきになりにければ。ひとまとものびんとやおもひけむ。都のかたへはせのぼりけるほどに。駿河國きかはといふ所にてうたれにけりときゝしが。さはこゝにて有けるよと哀に思ひあはせらる。讚岐の
あはれにも空にうかれし玉梓の道のへにしも名をとゝめけり
淸見が關も過うくてしばしやすらへば。沖の石村々鹽干にあらはれて波に咽び。磯の鹽屋ところ〴〵風にさそはれて煙たなびけり。東路のおもひ出ともなりぬべきわたり也。むかし