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Page:Gunshoruiju18.djvu/38

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 冬のよはこひしきことにめもあはて衣かたしき明そしにける

御返事いてや。

 冬のよはめさへ氷にとちられて明しかたきを明しけるかな

なといふほとにれいのつれなくさめてくらすそはかなきや。いかにおほしめさるゝにかあらん。心細き事ともをの給はせて。なを世中にありはつましきにやとの給はせたれは。

 くれ竹のよゝのふる事おもほゆる昔かたりは我のみそせん

と聞えたれは。

 吳竹のうきふししけき世中にあらしとそ思ふ暫しはかりも

なとの給はせて。人しれすすへさせ給ふへき所なとも。をきてならはぬ人なれは。はしたなく思ふなめり。こゝにもたゝきゝにくゝそいはむ。たゝ我いきてゐてこむと思して。十二月十八日の月のよきほとに成にたるほとに。おはしましたり。例のいてさせたまへとの給はすれは。今宵はかりにこそあめとて。ひとりのれは。人ゐておはせかし。さりぬへくは。あすあさてものとやかに物語りきこえんとあれは。れいはかくもの給はせぬを。もしやかくとおほすへきにやとて。さりぬへき人一人ゐていく。例の所にはあらて。いとよくして。忍ひて。人とも具してゐよとせられたり。されはよと思ひて。なに事かはわさとしたてん。いかてかはまいらまし。いつ參りしそと中々人も思へかしと思ひて。明ぬれは。櫛の筥なととりにやる。宮參らせ給ふとて。しはしこなたのかうしなとあけす。おそろしき事にはあらねとむつかし。今かの北の方に渡しまいらせむ。こ こにはちかけれは。ゆるしけなしなとの給はすれは。おろしこめてみそかにきけは。ひるは人々冷泉の殿上人なと參りあつまりて。いがにそかくては有ぬへしや。ちかおとりいかにせむと思ふこそ苦しけれとの給はすれは。それ