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てあまの河にいたるを題にてうたよみて。さかづきさせとの給ひければ。よみてたてまつれり。
狩くらし七夕つめに宿からんあまの河原に我はきにけり
ときこえければ。此うたをみこかへす〴〵詠たまうて。返しえし給はず。きのありつね御ともにつかうまつりたりけるが。かへし。
一年にひとたひきます君
歸りて宮にいらせ給ぬ。夜ふくるまで酒のみ物語して。あるじのみこゑひていり給ひなんとす。十日あまりの月かくれなんとす。それにかのむまのかみなりける人のよめる。
あかなくにまたきも月の隱るゝか山端逃ていれすもあら南
みこにかはりて。きのありつね。
をしなへて峯も
昔。みなせにかよひ給ふこれたかのみこ。れいのかりしありき給ひにけり。御ともにうまのかみなりけるおきなつかうまつれり。日比へて宮にかへり給ひけり。御をくりしてとくいなんとおもふに。おほみき給ひろく給はせんとて。つかはさざりければ。こゝろもとなくて。
枕とて草引むすふこともせし秋のよとたにたのまれなくに
とよみければ。やよひのつごもりなりけり。みこおほとのごもらであかし給ひけり。かくしつゝまいりつかうまつりけるを。思ひのほかに御ぐしおろさせ給ひて。小野といふ所にすみ給ひけり。む月におがみたてまつらんとてまうでたるに。ひえの山のふもとなれば雪いとたかし。しゐてみむろにまうでておがみ奉るに。つれ〴〵といと物がなしうておはしましければ。やゝ久しく侍らひて。いにしへの事など思ひ出て聞えさせけり。さてもさぶらひてしがなとおもへども。おほやけごともあれ