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Page:Gunshoruiju17.djvu/133

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國と。ふたつがなかに。いとおほきなる河あり。その河の名をば。すみだ川となんいひける。その河のほとりに。むれゐておもひやれば。かぎりなくとをく もきにけるかな とわびをれば。わたしもり。はや舟にのれ。日もくれぬといふに。のりてわたらんとするに。みな人物わびしくて。京に思ふ人なきにしもあらず。さるおりにしろき鳥の。はしとあしとあかきが。しぎのおほきさなる。水のうへにあそびつゝ。いををくふ。京には見えぬとりなれば。人々みしらず。わたしもりにとへば。これなむ都鳥と申といふをきゝて。

 名にしおはゝいさこととはん都鳥我思ふ人は有やなしやと

とよめりければ。舟人こぞりてなきにけり。その河渡り過て。都に見しあひて物がたりして。ことづてやあるといひければ。

 都人いかゝととはゝ山たかみはれぬ雲ゐにわふとこたへよ

むかし男。むさしの國まどひありきけり。その國なる女をよばひけり。父はこと人にあはせんといひけるに。母なんあてなる人に心つけたりける。父はたゞ人にて。母なん藤原なりける。さてなんあてなる人にとはおもひける。此むこがねに。よみてをこせたる。すむさとは。むさしのくにいるまのこほりみよしのの里なり。

 み吉野の賴むの鴈もひたふるに君か方にそよるとなくなる

かへし。むこがねかへし。

 我方によるとなくなるみ吉野のたのむの鴈をいつか忘れん

人の國にても。かゝることは。たえずぞありける。

昔男有けり。東へゆきけるに。友だちに道よりをこせける。

 忘るなよほとは雲ゐに成ぬとも空行月のめくり逢まて

むかしおとこありけり。女をぬすみて。むさし