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目の爻辞を六十四合せて考へたこともある、三番目四番目の者も同く六十四の言葉を夫れ集めて來て大夫はどう云ふ位或は公卿はどう云ふ位と云ふやうに考へて見たこともあつた。次の五は天子の位であるから天子はどう云ふ具合か矢張六十四合せて考へたこともある、或は在野の賢人は如何樣にすべきかと全体六つに分けて考へて見たならば哲學思想を抽象することが出來まいかと思ふたのである、倂しそう云ふ工合にやると全く六十四の言葉を彼方からも此方からも集めて來る丈に止まる。而も夫れが六章だけと極つて來る、夫では餘り意味が淺薄で面白くないと思つたのである。

ニ 六十四卦と人生

 其處で今度は改めて考へて見るのに周易の六十四卦と云ふものは何を示して居るだらうか六十四卦の名稱を考へると或は人間社會に關係あるものあり或は天地自然の現象に關係のあるものもある、又食