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第三章 正義

 義は武士道の嚴訓也。武士最も醜汚奸邪を惡む。義の觀念には、或は誤謬に失せるものあらん、或は狹隘に過ぐるものあらん。名ある武士は、此れが定義を與へて、

義は勇の相手にて、裁斷の心なり、道理に任せて决心して、猶豫せざる心を云ふなり。死すべき塲合に死し、討つべき場合に討つことなり。

(林子平)

と云ひ、又た一人は、說明して、

節義は例へて云はゞ、人の體に骨あるが如し。骨無ければ、首も正しく上に在ることを得ず。されば人は才