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Page:Bushido.pdf/60

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の資質は、第十六世紀に於て、最高度に發展し、其性情、心念亦た同時に頗る多方に伸張したり。支那、印度に於けるや、人の優劣は、主として、精力及び知識の程度に在るものの如く、而して日本に於ては之に異り、人の差等は品性のオリヂナリチーの多少に在り。抑も個々特立の人格とは、優等なる民族の徵證にして、又た旣に發達したる文明の左券なり。ニーチエが得意の言を假りて云へば、亞細亞大陸に於けるや、人は其平原の如くなりと雖、日本に於ては之に反し、歐洲に於けると齊しく、要するに其民は其山嶽の如し。

 マゼリエル氏の評論せる國民、即ち我が大和民族の共有せる特種の性格たり、又た武士道の大本たる所のものに就