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穗を以て、比匹稀なる人間の新儀表を造り出したり。慧眼なる佛國碩學マゼリエル氏は、其の『日本史論』中、第十六世紀史に就いて感想せる意見を總說して日はく、
第十六世紀の中葉まで、日本は、政治も、社會も、宗敎も共に混亂の狀態に陷りたり。然りと雖、爭亂紛擾止む時なく、社會の情態は蠻野に復し、人民自から義法を行ふの要ありたるよりして、彼等はテーヌが、『勇敢なる起手、决意斷行の習性、堅忍敢爲の襟度』と賛せる、第十六世紀の以太利人に髣髴たるの人格を形成したり。然るに以太利に於けるが如く、日本に於て亦た、テーヌの云へる如く、『中世紀の粗野なる狀勢の、人をして武力的、反抗的なる、卓絕非凡の動物たらしむる』ものありたるが故に、日本民族