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敎說と符節を合して、知行合一を指敎したるは、即ち支那の哲人王陽明なり。
士林の人格高邁なる者にして、陽明の强健なる感化に浴したることの尠からざるを述べんとするに當り、姑く予に閑說を許せ。西洋の人士、若し試みに陽明の書を繙かん乎、其書中、新約全書に酷似せるの詞句に乏しからざるを見ん。兩者の用語の殊別なるに拘はらず、直ちに其意義に入れば、『神の國と其義とを求めよ、さらば此等のものは、凡て汝等に加へらるべし』との語の如きは、陽明の書を通じて散見する思想を云ふものなり。日本陽明學派の大家、三輪執齋は曰く、『天地生々の主宰、人にやどりて心となる。故に心は活物にして、常に照々たり』と。又た曰く、『其本體の靈