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日本に於ける武士道の硏究に一指を染めんことを。

 歐洲と日本とに於ける、封建制度並に武士道の異同を比較し、之を史學上より論考するは、趣味多方なるの問題なり。されど、是れ予が本書の目的とする所に非ず。

 予の目的は、第一日本武士道の淵源第二其特質と敎訓第三社會全般に及ぼせる其感化第四其感化の持續如何の此の四問題に就きて、之が說明を試みんとするに在り。然るに第一問の如きは、單り其梗槪を略說して、直に第二問に入らん。乃ち此問題たるや、萬國倫理學若くは比較品行論を硏究する學者をして、日本人の思想行爲の徑路趨向を曉解せしめんとするに於て、稗益する所、必ずや大なるべきを以て、予は稍や詳細に涉りて、之を論述せんと