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Page:Bushido.pdf/262

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る問題に過ぎざるのみ。

 武士道の感化の尙ほ頗る炳然たるは、走りながらにも亦た之を讀むことを得べく、日本人の生活を一瞥せば、自から釋然たるべし。典雅流麗の文字、能く日本人の心機を解明したる小泉八雲を讀まんか、さらば直ちに其心機の作動は即ち武士道の作動の一例なるを見ん。我國上下を通じて、禮節を重んずることも、亦たこれ武士道の遺產にして、世界の熟知する所、更に絮說を要せず。所謂『矮小漢ジヤツプ』の不撓の體力を具し、又た堅忍勇敢なるは、日淸戰役の能く證明したる所なり。人多く問ふ、『斯民にも勝りて忠君愛國の念を有するの國家ありや』と。而して吾人は傲然として、『他又た是れ有ること無し』と答ふるを得るは、深く武