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も亦た王と同感の念無き能はず。
武門の女子の藝能に於ける、以て人に衒ひ、世に誇らんが爲にあらず、藝能は家內の娛樂を助くるに在りき。若し又た宴席集會の坐に、其長技を示すことありとも、これ唯だ主婦の務を助けんが爲にして、即ち家人接客の一法たるに過ぎざりき。齊家の道は婦人の敎育を指導す。其の文武を問はず、舊日本婦人の藝能は、主として家庭の爲にし、女子は遠く彷徨ふとも爐邊を忘れず、其の辛苦勞役し、一生を奉ずる所以のものは、一家の名譽と體面とを保持せんが爲なりき。彼は勁健、柔和、剛壯、悲惻の聲交も至り、切々として日夜其小巢の爲に歌へり。女となりては父の爲にし、妻となりては夫の爲にし、母となりては子の爲にして、自から犧牲た