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押し戴きたる後、我が前に置く。

 再び愼重なる叩首の後、多紀善三郞、其音聲は、苦痛の自白をなす人に常なる無量の感情と踟蹰との念を洩したれども、顏色態度は、毫も變ずること無くして語り出づるやう、

拙者唯だ一人、無分別にも、過つて、神戶なる外國人に對して發砲の命令を下し、其の逃れんとするを見て、再び擊ちかけしめ候。拙者今其の大罪を負ひて切腹致す。各方には檢視の御役目御苦勞に存候。

 又たもや一禮終つて、善三郞は上衣を帶元まで脫ぎ下げ、腰の邊を露はせり。仰向に倒るゝこと無からんやう、形の如く、靜に兩袖を膝下に敷き入れたり。凡そ優尙な