に、鼠あまたさしつどひ、遊びたはぶれけるほどに、ふしたるしゝ王の上に、鼠一つとびあがりぬ、其時しゝ王目ざめをどろき、此鼠を取てひつさげ、すでに打ちくだかんとしけるが、しゝ王心におもふ樣、是ほどのものを失ひたればとて、如何ほどの事のあるべきやと云て助侍りき、鼠命をひろひ、更に我等たくみける事に侍らず、餘りに遊たはぶれけるほどに、實のけがにて侍ると、彼しゝ王を禮拜して去ぬ、其後しゝ王有所にてわなにかゝり、旣に難儀に及ける時、鼠此よしをきゝて、いそぎしゝ王の前にはせ參、いかにしゝ王聞召せ、いつぞや我等をたすけ給ふ御恩に、又助侍らんとて、彼わなの端々を喰切、しゝわうをすくひてけり、其ごとく、あやしのもの成共、したしくなつけ侍らんに、いかでか其德を得ざらん、只威勢あればとて、
第二十四
ある所に、燕と萬の鳥と集居けるほどに、つばめ申樣、こゝに麻といふものまく處有、各々是を引すて給へかしと歎きけれ共、諸鳥是にくみせぬのみならず、かへつてつばめをあざける、つばめ申は、御邊達は何を笑ひ給ぞ、此あさと申は、
第二十五 かはづが主君をのぞむ事
あてえるすと云ふ所に、彼主君なくて、何事も心に