るが、よく〳〵心におもふやう、よにかくれなき
第十九 ねなたを帝王ふしんの事
さるほどに、いそほ誅せられけるよしかくれなし、これによつて、諸國よりふしんをかくる事ひまなし、中にもえじつとの國ねたなをと申帝より、かけさせ給ふ御不審にいはく、われ虛空に一つのてんかくをたてん、其立樣以下をしめし給へ、御たくみに依て、天かくを忽ちざうひつせば、あまたの寶を奉り、其上年々
第二十 えりみほいそほが事を奏聞の事
ある時、えりみほひそかにそうもん申けるは、御なげきを見奉るに、御命もあやうく見えさせ侍る也、今は何をかつゝみ申べき、いそほ誅すべきよし仰付られ候とき、あまりにおしく存、おほやけの私をもつて、今迄たすけ置きて候、違勅のものをたすけ置く事、かへつて我つみもかろからず候へ共、かゝる不審も出來るならば、_國中のさはりとも成らんと思ひ侍べれば、助てこそ候へと申ければ、みかど斜ならず悅こばせ給ひ、こはまことにて侍るや、とくかれを參らせよとて、かへつて御成に預りし上は、敢へて勅かんのさたもなし、是に依ていそほをめしかへさる、いそほ參內して御前にかしこまる、御門此よしえいらん有に、久しく籠居せしゆへ、いとゞ姿もやつれはて、おかしと云もおろか成有樣也、帝臣下に仰付られ、いそほをよきにいたはり侍るべしとの給へば、人々い