て其信を明かにするなり。義を爭ひ利を爭はず、是を以て其義を明かにするなり。又能く服するを舍す、是を以て其勇を明かにするなり。終を知り始めを知る、是を以て其智を明かにするなり。六德時を以て敎に合ひ、以て民紀の道を爲すは古よりの政なり。
先王の治、天の道に順ひ地の宜を設け民の德を官り、而して名を正し物を治め、國を立て職を辨じ、爵を以て祿を分てば、諸侯悅び懷き海外來服し獄弭みて兵寢む、聖德の至なり。其次は賢王禮樂法度を制し、乃ち五刑を作り甲兵を興し以て不義を討つ。巡狩して方を省み諸侯を會して不同を考へ、其命を失ひ常を亂り德に背き天の時に逆ひ、而して有功の君を危うする有らば、偏く諸侯に吿ぐ。有罪を彰はし明かにして乃ち皇天上帝日月星辰に吿げ、后土四海神祇山川社に禱りて乃ち先王に吿げ、然る後ち宰師を諸侯に徵して曰く、某國不道を爲す之を征せん。某年月日を以て師某國に至り天子に會し刑を正し、宰百官と令を軍に布いて曰く、罪人の地に入りて神祇を暴すこと勿れ、田獵を行ふこと勿れ、土功を毀ぶること勿れ、墻屋を燔くこと勿れ、林木を伐ること勿れ、六畜禾黍器械を取ること勿れ、其老幼を見ば奉歸して傷くること勿れ、壯者に遇ふと雖も校いずんば敵すること勿れ、敵若し之を傷けば醫藥して之を歸れと。旣に有罪を誅せば、王及び諸侯は其國を修め正し、賢を擧げ明を立てゝ正に厥の職に復す。