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Page:Bukyō shitisyo.pdf/23

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せるなり、鳥の集まる者は虛なり、ぶ者は恐るゝなり、軍擾るゝ者はしやうおもからざるなり、旌旗せいきうごく者はみだるゝなり、吏怒る者はむなり、馬を殺して肉食する者は軍にかてなきなり、ほとぎを懸けて其舍に返らざる者は窮寇なり、諄々じゆんきふきふしづかに人と言ふ者は衆を失へるなり、數〻しばしやうする者はくるしめるなり、數〻しばばつする者は困しむなり、先きに暴にしてのちに其衆を畏るゝ者はくはしからざるの至りなり、來つて委謝ゐしやする者は休息せんと欲するなり、兵怒つて相迎へ久うして合せず、また相去らざる者は、必ず謹んで之れを察せよ。

 兵は益〻多きを貴むに非ざるなり、たけく進むこと無しと雖も、以て力をあはするに足れるは、敵をはかつて人を取るのみ、夫れおもんぱかりなくして敵をかろんずる者は、必ず人にとりこにせらる。卒未だ親附せざるに之れを罰すれば則ち服せず、服せざれば則ち用ひ難し、そつすでに親附するも罰行はれずば則ち用ふべからざるなり。故に之れをれいするに文を以てし、之れをひとしうするに武を以てす、是れを必取といふ。令もとより行はれ以て其民を敎ふれば民服す、令素より行はれずして以て其民を敎ふるときは則ち民服せず、令素より行はるゝ者は衆と相得るなり。


地形第十