Page:Basho Haiku Zenshu.djvu/77

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    這ひ出でよかいやが下の蟾の聲

     無常迅速

    頓て死ぬけしきは見えず蟬の聲

     稻葉山

    撞く鐘も響くやうなり禪の聲

     立石亭

    閑さや岩にしみ入るせみの聲

    聲に皆なきしまうてや蟬の聲

    梢よりあだに落ちけり蟬の殼

    蟬を以て天のいふ暑かな