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    見上ぐれば櫻仕舞うて紀三井寺

    聲よくばうたはんものを櫻散る

    裏表名をつけかへる山櫻

    山の名を得て散るをこそ櫻なれ

    姥さくら咲くや老後の思い出

    世をいかに捨處なき山櫻

    竈風呂や梅も櫻も忍ぶ草

    顏に似ぬ發句も出でよ初櫻

    まつ花や藤三郞が吉野山

    花の顏に晴れうてしてや朧月