Page:Basho Haiku Zenshu.djvu/167

提供:Wikisource
このページは校正済みです

    松葉を焚いて手拭あぶる寒さ哉

    狼の人に喰はるゝ寒さかな

    葱白く洗ひ上げたる寒さ哉

    によきと帆柱寒き入江かな

     越人と吉田の驛にて

    寒けれど二人旅寢ぞ賴母しき

    冬寒し欠をうつす息の色

    鹽鯛の齒ぐきも寒し魚の棚

    夜着に寢て雁が音寒し旅の宿

    藍壺に裁を失ふ寒さかな