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妻
このごろの便り遠のく妻のこと梨の芽立に想ひてゐたり
こゝろにはいくたりの人汚しつつたもつ
人ごみに遠ざかりゆく襟あしの繊きがなにか眼には沁みつつ
かはたれはクロバ畑に
毒蝶は薊の蜜を吸ひつくしかげらふ昏き森に消えたり
玻璃ごしに
無花果のまばら枝すでに萌えそめて空のうるみに
妻
このごろの便り遠のく妻のこと梨の芽立に想ひてゐたり
こゝろにはいくたりの人汚しつつたもつ
人ごみに遠ざかりゆく襟あしの繊きがなにか眼には沁みつつ
かはたれはクロバ畑に
毒蝶は薊の蜜を吸ひつくしかげらふ昏き森に消えたり
玻璃ごしに
無花果のまばら枝すでに萌えそめて空のうるみに