背くものにて其の者は・惡熊に殺さるゝか、さもなければ種々の不運を招ぐと云ふ。アイヌは、あらはれたる物の後には、惡魔橫行すと信ぜり。
此の外に「オハイヌ」(〈オハは空、イヌは聞く〉)と稱するものあり。之れは、神の御話し、又は御吿げを聞くことなり。二三代の昔までは、人物の最も崇高なる者に此の事ありし由なるも、現今に至りては、斯ることは皆無なり。
「イム」は中年以上の婦人に多く、物事に驚くの餘り、意識を失ひて、相手の言行と全く反對の言行を爲すことなり。例せば「此の子供は憎し」と言へば、其の頭を撫でつゝ「可愛子よ」と云ひ、此の人は可愛