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第一章 總論
 

要󠄁である。元來原價計算は事業の目的たる製品の原價を計算する手續である。從つて原價計算は原價を正確に計算することが、その役目であり目的だとせられて居る。だが、それは所󠄁謂自己目的である。原價計算をなすといふ根本の趣意は他になければならぬ。然らば原價計算の目的は何處にあるか、これに就ては通󠄁常次󠄁の目的が擧げられる。

  1. 經營合理化󠄁の基礎
  2. 價格政策の決定

偖て原價計算は製品の原價がどれだけであるかといふことを計算的に把握するのであり、それは經營過󠄁程󠄁の分析である。だから原價を計算すれば經費に於ける浪費や濫費が直ちに指摘出來る。それは軈て經費の合理化󠄁となって、それだけ原價は低減されて來る。また原價計算は、これを要󠄁素別に把握する故、原材料や勞務の消󠄁費狀況が判󠄁り、何れの場所󠄁に非能率󠄁があるかを指摘出來る。其他工程󠄁管理上の非能率󠄁や經營に橫はる不合理が剔出出來る。從つて原價計算は能率󠄁增進󠄁の眞󠄀の促進󠄁劑であり經營の合理化󠄁は原價計算によつて始めて效果的となる。能率󠄁增進󠄁は口に唱へられるだけでは意味がない。それが實現化󠄁されて偉󠄁力が發揮出來るのである。能率󠄁の增進󠄁は現在の時局下に於て生產力增强の見地から最も力を入れねばならぬのである。これを要󠄁するに原價計算は、これを經營と