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Page:鐵道震害調査書 大正12年.pdf/41

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みはセメント1,砂2,砂利4の割合なり。

  被害狀況  (附圖第五十八並に寫眞第二百五十六乃至第二百六十二參照) 兩橋臺竝に鈑桁及びこれに對する橋脚には被害として認むべきものなく,唯袖石垣の一部崩壞せるのみなり。

 構桁に在りては第一號構桁は第五號橋脚上に於てその座(可動端)を外るゝこと川下側へ8呎に及べるもその端床桁は第五號橋脚の川下側のものに支へられ辛うじて墜落を免れたり。

 第二號構桁は川下に移動して橋脚を全然脫出せしため,桁は墜落して頭部を上流に向けて橫たはれり。

 第三號構桁は第六號橋脚上に於てその固定端沓の原位置を外るゝこと川下側へ4.5呎,國府津方へ1呎に及べり。第七號橋脚上に於けるその左右桁端は國府津方へ約9吋及び1呎3吋變位せり。

 第四號構桁の左右桁端は第七號橋脚上固定端に於て川下側へ約8吋,國府津方へ約1呎2吋及び10吋移動し,第八號橋脚上可動端に於て川下側へ約1呎8吋,國府津方へ約6吋及び1呎2吋移動せり。

 第五號乃至第八號構桁は何れも多少の變位をなし,その左右桁端は線路と直角なる方向に0吋乃至1呎3吋,國府津方に2吋乃至1呎の移動をなせり。

 尙移動の詳細は附圖第五十八に示せるも,これ等桁端の移動は橋脚桁坐に對照して概測せしものなるを以て數値に多少一致を缺くところあるを免れず。

 構桁は上記の如く大變位をなしたれどもこれに對する橋脚は殆ど被害なく,唯桁端の移動せるがために桁座面及びアンカー・ボールトの損傷せるに過ぎず。

  應急工事  應急工事に着手せるは大正十二年九月十九日にして,先づ第一號構桁を橋脚上の原位置に假復舊をなし,又上流に橫顚したる第二號構桁に代ふるに40呎鈑桁2連及び60呎鈑桁1連を以てし,十月十五日試運轉を行へり。

 尙大正十三年一月二十二日より墜落せる第二號構桁の解體引上げに着手し,修繕の後原位置に復舊架設し,又他の7構桁も位置を修正して十三年八月七日一切の復舊工事を終りたり。

  五 熱海線玉川橋梁

  構造概要  (附圖第五十九及び第六十參照) 本橋梁は早川根府川間國府津起點5哩78鎖10節の地點に架設せられ全長563呎8吋にして,大正八年四月起工同十一年十二月の竣工に係り,單線用上路鋼鈑桁徑間40呎1連及び徑間60呎8連2列より成る。橋梁上線路は半徑25鎖の曲線をなし,且1100の上り勾配中に在りて,その方向は國府津方橋臺に於て約南26度西,熱海方橋臺に於て約南7度西なり。架橋地點は溪谷にして橋下に人家散在し,地質は玉石混り粘土なるを以て基礎工は橋臺橋脚何れも杭打を用ひざる混凝土工なり。而してその根入りの深は約10呎乃至15呎なりとす。

 軀體は橋臺橋脚とも複線式にして外側石積內部混凝土工とし,その形狀は矩形なり。混凝土の調合割合はセメント1,砂3,砂利6(桁座に對してはセメント1,砂2,砂利4)にして,各部寸法等は附圖第五十九及び第六十に示すが如し。尙鈑桁に對する設計荷重はE33なり。

  被害狀況  (附圖第五十九,第六十並に寫眞第二百六十三乃至第二百七十一參照) 橋臺及び橋脚の損傷を受けざるものなく,何れも水平に龜裂を生じ或は切斷せり。而してこれ等切斷部は何れもその下部分に對して時針と反對方向に廻轉せり(附圖第六十及び寫眞第二百六十九參照)。尙損傷の詳細は第二十一表及び附圖第六十に示すが如し。

 而して墜落せる鈑桁8連中,上り線は僅に1連なるに,下り線は7連の多きに達せるは,上り線は營業線にして護輪軌條も敷設せられ,且常に充分保修せらるゝも,下り線は營業線ならずして軌條は兩橋臺間のみ敷設せられ,護輪軌條は敷設せられず,又保修も施されざるを以て各鈑桁間の結合上り線に比し遙に劣りしに基因せるならんか。

 次に國府津方の桁端のみ墜落せるは,橋脚の切斷部前述の如く何れも時針と反對方向に廻轉せるため,下り線に於ては國府津方桁端墜落し易きと,且桁は概して震源地に近き方に摺動せるもの多きが如きを以て,本鈑桁も熱海方に摺動し,國府津方の桁端墜落せるならんか,尙墜落せる桁端は何れも固定端にして墜落を免がれたる桁端は可動端なり。

 又第四徑間の下り線鈑桁は徑間の中央に略々水平に墜落せるも,桁自身には著しき損傷なし。

 尙大正十四年四月十日復舊後の上り線(山側)床石面に沿ひて徑間を測定せしに,附圖第五十九に示すが如く大半は短縮し,2,3の伸長せるものあるも結局全徑間に於て約3.5呎餘の短縮を來せり。(桁座構造圖は附圖第六十に示す

  六 熱海線白糸川橋梁

 構造概要 (附圖第六十一參照) 本橋梁は根府川眞鶴間國府津起點8哩4鎖66節5(建設哩程7哩68鎖5節4)に位し全長645呎,大正十一年に竣工せる複線式にして橋梁上線路の方向は直線南12度西なり。徑間は40呎4連,150呎3連にして,兩端40呎各1連のみ單線鈑桁を架し,他の40呎2連は各單線鈑桁竝列,150呎3連は何れも上路複線構桁なり。

 兩橋臺竝に橋脚は基礎軀體共に混凝土工にして,唯第四號橋脚のみ下部高17呎間は周圍に厚平均1呎3吋の張石積となせり。鋼桁の設計荷重は構桁はE45,鈑桁は構桁に隣れるものE40,その他はE33なり。

 被害狀況 (附圖第六十二並に寫眞第二百七十二乃至第二百七十八參照) 國府津方橋臺(高30