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今回宮内省に於て明治天皇御集の編纂成り、思召を以て夫々へ下賜せられたり。此の御集は、明治天皇の御盛徳を仰ぎ、御仁慈の大御心を偲び奉るに最も適當なるのみならず、又實に國民にとりて修養の鑑たるべく、教育上にも極めて有益なるを以て、宮内大臣と協議の上、刊行して廣く之を頒布することとせり。 此の御集が普く國民に捧讀せられんことは予の切に希望する所なり。

大正十一年九月

  

文部大臣 鎌田榮吉


御集の原本は木版にして、漢字は行草體なり。又假名は多く變體を用ひ、濁點を附せず。本書に於ては、總べて普通の活字に改め、濁點を附する等、一般に捧讀し易からんことを期せり。又便利のため末尾に索引を附せり。

明治天皇御集 卷上

明治十一年以前

新年望山

新しき年を迎へてふじのねの高きすがたを仰ぎみるかな

鶯入新年語

あたらしき年のほぎごといふ人におくれぬけさの鶯のこゑ

風光日々新

日にそひてけしきやはらぐ春の風よもの草木にいよゝふかせむ

寒香亭にて梅を見て

まさかりの梅の林にさす月のかげさへかをる春のゆふぐれ明治天皇御集 上 明治十一年以前 一