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あらしふく庭のもみじ葉あさ霜のうへにちりたる色のさやけさ

月照氷

厚氷とじたる池の底までもてりとほるかとみゆる月かな

禁園雪深

ゆきかひの道をぞ思ふわが園の草木もうづむけさのみゆきに

雪中早悔

ふりつもる梢の雪をはらはせて今朝こそ見つれ梅のはつ花

冬泉

冬ふかき池のなかにもほとばしる水ひとすぢはこほらざりけり

明治十九年

新年望山

年のたつあしたに見ればふじのねの雪の光もあたらしきかな

毎年見梅

わがそのゝ梅の花見むこの春もこぞにかはらぬ人をつどへて

絲櫻

けさよりもまた咲きそひて春の日のながさしらるゝ絲櫻かな

夜花

ともしびの光をかりて窓の外の花もてあそぶよはの樂しさ

夜思花

さよふけて吹く松風のおとたかしこのまの櫻いまかちるらむ

池邊花