古の史にありて典謨テンボに比ヒすべき者︀なり。是等は何故に删られたるか。その理由を知ること能はず。然らばその修正は、實に拙陋セツロウなる修正なり。その修正 祕史の世に傳はらずして、原本 祕史の譯本の通體 完善ツウタイ クワンゼンに今に保存ホゾンせらるゝは、史學上の吉祥︀事キチジヤウジにして、太祖︀の威靈ヰレイの呵護カゴに賴ヨれるに非ずやと思はるゝ程なり。洪鈞コウキンは、別咧津ベレジンの譯に由り喇失惕 額丁ラシツド エツヂンの集史を譯し、その親征錄に合へるを見て、却カヘツて祕史の誤れるを疑へるは、祕史の原本は蒙古史の本源なること、二書の本づきたる者︀は修正 祕史なることを知らざるが故なり。
元朝 祕史、聖武 親征錄、喇失惕 額丁ラシツド エツヂンの集史 等の來歷を一目ヒトメに見易ミヤスからしめんが爲に、左サの系圖ケイヅを作れり。
忙豁侖 紐察 脫卜赤顏モンゴルン ニウチヤ トブチヤンMongholun Niucha Tobchiyan(蒙古 祕史)元 太祖︀ 時 撰、續集、太宗 十二年 撰。
├─元朝 祕史十卷、續集 二卷。明 洪武 十五年 譯。
│ ├─元 祕史千頃堂 書目 十二卷。明 文淵閣 書目 五册、續稿 一册。
│ │ ├─元 祕史十卷、續 祕史 二卷。乾隆︀ 中、金德輿 所藏、稱 殘元槧本。其 譯文 載 孫承 澤 元朝 典故 編年考 第九卷。
│ │ └─元朝 祕史五冊 十卷、續集 一册 二卷。廬州 知府 張氏 所収、稱 影 元槧 舊鈔本。
│ │ └─顧廣圻コクワウキ 校勘本
│ │ └─宗室ソウシツ 盛昱セイイク 藏本
│ │ ├─文廷式ブンテイシキ 鈔本
│ │ │ └─內藤 湖南ナイトウコナン 鈔本
│ │ │ └─高等 師範 學校カウトウ シハン ガクカウ 鈔本
│ │ │ ├─早稻田 大學ワセダ ダイガク 鈔本
│ │ │ └─成吉思 汗 實錄那珂 通世 和文譯。
│ │ └─李文田リブンデン 鈔本
│ │ └─沈曾植チンソウシヨク 鈔本
│ ├─元朝 祕史十五卷、永樂 大典 十二先 元字韻 中 所收。
│ │ └─錢大昕センタイキン 鈔出本
│ │ └─張穆チヤウボク 連筠簃レンキンイ 刻本有 譯文、無 蒙文。
│ │ ├─帕剌的兀思パラヂウスPalladius 露西亞文 譯本
│ │ ├─上海︀シヤンハイ 復古書局フクコシヨキヨク 石印本
│ │ └─李文田 注 刻本
│ └─元 祕史十五卷、依 舊鈔 影寫、見 阮元 四庫 未收 書目 提要。
│ └─帕剌的兀思パラヂウス 影 明槧 舊鈔本十五卷、無 標題。今 藏 于 露京 大學 圖書館︀。
│ └─頗自捏也富ポズネエフPozdneyeff 露文 譯注 漢︀字 原書 刻本
└─修正シウセイ 紐察 脫卜赤顏ニウチヤ トブチヤンNiucha Tobchiyan元史 察罕 傳 稱 脫必赤顏、虞集 傳 稱 脫卜赤顏。
├─太祖︀ 實錄成宗 大德 七年、翰林 國史院 奏進。
│ ├─元史 太祖︀ 本紀
│ ↑
├─聖武 開天記仁宗 時、察罕 譯 脫必赤顏 以 成。
│ └─聖武 親征記邵遠平 元史 類︀編 所引。
│ └─皇元 聖武 親征錄兩淮 鹽政 採進本、四庫 全書 提要 存目。
│ └─錢大昕 本
│ └─徐松ジヨシヨウ 本
│ ├─張穆チヤウボク 校本
│ │ └─何秋濤カシウタウ 校本
│ │ ├─帕剌的兀思パラヂウス 露西亞文 譯本
│ │ └─李文田 沈曾植 校注本
│ ↑ └─那珂 通世 證注本
│ 翁方綱オウハウカウ 本
└─阿勒壇 迭卜帖兒アルタン デプテルAltan depter(金册)卽 修正 祕史、西域 宗王 寶庫 所藏。
├─札米兀惕 帖伐哩黑ヂヤミウト テヷリクJami ut Tevarikh(集史)喇失惕 額丁 所撰。
│ │ └─別咧津ベレジンBerezin 譯 蒙古史
│ │ └─元史 譯文 證補洪鈞 撰。其 太祖︀ 本紀 譯證、譯 別咧津 書。
│ ├─朶遜ドーソンd'Ohsson 蒙古史
↑ ↑ └─元史 證文 證補其 定宗 憲宗 本紀 補異 及 朮赤 以下 諸︀傳、皆 譯 朶遜 書。
塔哩黑 只罕庫沙亦タリク ヂハンクシヤイTarikh Jihankushai(世界 征服史)主費尼 所撰。