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 (小亞細亞横斷旅行談)七四(74)

特色を現して居ります、次にシェーク、サドレッヂン寺、シルチエリ、メドレッセ及サヒーブ、アタなどは何れも大同小異の珍奇なる建築ですが、詳細の説明は略して置きます

それから次に面白い例は墓の一種類で是はチユルベメウラナと云ひます、此の下に墓があります、是は墓の上に建つて居る建物で御覧の通り此の塔のプランは菊花の形をして居ります、さうして此の上にピラミツトのやうな屋根を造つて、表面は非常に美しい青い彩瓦を以て貼りつけてあります、

メクテベ、イ、イダヂと云ふ所には少さい遺物陳列場があつて、此の中に希臘羅馬式の石彫や、セルヂユーク式の物品が蒐集されてあります

夫から茲に特に御報告して置き度いことは回教藝術と動物との關係です、一般に回教藝術に動物は使はないと申しますが、夫は誤です、その證據は此の處に在ります、是はコニアの某古寺の扉であります、是に獅子の形があります、下には翼の生えた獅子の彫刻があります、是れは古代波斯のオリヂンであります、尚ほ他にももう一つ面白い例はヂヤルベクルから出たもので翼の生えた鳥の頭をして獣の形をしたもの、即ちグリフインと稍するものです

此グリフインは大變面白い現象でありまして、セルヂユーク式は亜刺比亜系統ではありますがこの通り動物を使つて居るのです、併し此の動物は後世には澤山は使つて居りませぬが、古い所には此の通り澤山使つてあります。アラビア初期の藝術にも仝様屢々動物の應用を見ます、勿論近頃は所謂アラベスクと稱する線條紋様斗り賞用されて、動物は更に用ゐられないことになりました