馬可傳第十一章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第十一章[編集]

[1] かれらヱロソルマにちかづき橄欖山ベッパギベタニヤにいたるとき 耶穌ふたりの門徒でしをつかはして
2 かれらにいひけるは 汝らの對面むかへるむらにゆき むらにいらばたゞちにひとのいまだのらざるところのつなげ驢馬ろばにあふべし これをときてつれきたれ
3 もしたれかなんぢになにをなすやととはゞ しゆ入用にうようなりといへ しからばたゝ[ゞ]ちにこれをこゝにおくるべし
4 かれらゆきしかばちまたもんのそとにつなげる小驢馬ころばをみてこれをとく
5 しかるにそこにたちしひとのあるもの かれらにいひけるは なにゆゑに小驢馬ころばをとくや
6 門徒でし耶穌のめいぜしごとくいひけるに かれらをゆるしてかへせり
7 門徒でし小驢馬ころばを耶穌にひき きたりておのれの着物きものをそのうへにおきければ耶穌これにのれり
8 ひとおほくおのれの衣服いふくみちにしき あるひはえた[だ]をきりてみちにしき
9 まへにゆくものもあとにしたがふものどもゝよばゝりていひけるは 萬福ホザンナ しゆをもつてきたるものはほまるべし
10 われらのちゝなるダビデのくにしゆをもつてきたるものはほまるべし いたつたかきところに萬福ホザンナ
11 耶穌ヱロソルマにいたり神殿みやいりてこと]くまはせりときすでにくれければ 十二じうにとともにベタニヤにいでゆけり
12 明日あくるひかれらベタニヤよりきたるとき 耶穌うえ
13 はるかにある無花果いちじくをみて そのになにかあるやとてきたれり きたりてのほかになにもみえざりし これ無花果いちじくのときにあらざればなり
14 耶穌こたへてこのこののちな[がく?]なんぢをくらふひとあるべからずといへり 門徒でしこれをきゝし
15 かれらヱロソルマにいたり耶穌神殿みやにいりて賣買うりかひするものを神殿みやよりおひいだしはじめて 兌錢者りやうがへするもの案鴿だひはとをうるものゝ椅子こしかけをたをし
16 かつたれにてもうつはをもつて神殿みやをとほるをゆるさず
17 またをしへてかれらにいひけるは わがいへ萬國人ばんこくにん祈禱きとういへとなづくべしとしるされしにあらずや しかるをなんぢらこれを盗賊とうぞく巣窟さうくつとなせり
18 士子か[が]くしや祭司さいしをさこれをきゝていかゞして耶穌をほろぼすべきやとはかれり いかにとなれは[ば]ひとみな耶穌のをしへにおと[ど]ろかされしゆゑに かれらこれをおそるればなり
19 くれて耶穌城下ぜうかをいでゆけり
20 また翌朝よくてうかれらとほりかゝるとき無花果いちじくよりかれしをみし
21 ペテロおもひいだして耶穌にいひけるは ラビみよ のろひしところの無花果いちじくかれたり
22 耶穌こたへてかれらにいひけるは かみしんぜよ
23 まことにわれなんぢらにつげん たれにてもそのこゝろうたがはす[ず]してわか[が]いひしところのことかならずなるべしとしんじて このやまにうつりいれといはゞ そのいひしごとくなるべし
24 ゆゑにわれなんぢらにつげん およそ祈禱きとうしてなんぢらがねがふところのもの これをうくとしんずればかならす[ず]これをべし
25 またなんぢらいつにてもたつ祈禱きとうするとき もしひとたいにくむことあるならばかれをゆるせ これてんにいますなんぢらのちゝもまたなんぢらのあやまちをゆるさんためなり
26 もしなんぢらゆるさゞればてんにいますなんぢらのちゝもまたなんぢらのあやまちをゆるさゞるべし
27 かれらまたヱロソルマにいたり 耶穌神殿みやにあるきまはるとき 祭司さいしのをさ士子がくしやおよび長老としよりども かれにきたりて
28 いひけるは なにの權威けんいをもつてこのことをなすや またこのことをなすべきためにたれがなんぢにこの權威けんいをあたへしや
29 耶穌こたへてかれらにいひけるは われもまたひとつのなんぢらにたつ[づ]ぬることあり なんぢこたへなばわれなんの權威けんいをもつてこのことをなすをつぐべし
30 ヨハンネ洗禮せんれいてんよりかひとよりありしか われにこたへよ
31 かれらたがひにろんじていひけるは われらもしてんよりといはゝ[ゞ]かれなにゆゑにヨハンネしんぜぬやといはん
32 かへつてひとよりといはゞかれらたみをおそる いかにとなればたみみなヨハンネし[じ]つ預言者よげんしやにてありしとおもふゆゑなり
33 かれら耶穌にこたへて しらずといへり 耶穌こたへていひけるは われもまたなにの權威けんいをもつてこのことをなすをなんぢらにつけ[げ]ざるなり