領海及び接続水域に関する条約

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  • 領海及び接続水域に関する条約
  • (略称)領海及び接続水域条約
  • 昭和三十三年四月二十九日 ジュネーブで作成
  • 昭和三十九年九月十日 効力発生
  • 昭和四十三年五月八日 国会承認
  • 昭和四十三年五月二十八日 加入の閣議決定
  • 昭和四十三年六月十日 加入書の寄託
  • 昭和四十三年六月二十一日 公布及び告示(条約一一号)
  • 昭和四十三年七月十日 効力発生

前文[編集]

この条約の当事国は、次のとおり協定した。

第一部 領海[編集]

第一章 一般規定[編集]

第一条 国の主権と領海

1 国の主権は、その領土及び内水をこえ、その海岸に接続する水域で領海といわれるものに及ぶ。

2 国の主権は、この条約の規定及び国際法の他の規則に従って行使される。

第二条 領海の上空並びに領海の海底及びその下

 沿岸国の主権は、領海の上空並びに領海の海底及びその下に及ぶ。

第二章 領海の限界[編集]

第三条 通常の基線

この条約に別段の定めがある場合を除き、領海の幅を測定するための通常基線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線とする。

第四条 直線基線

1 海岸線が著しく曲折しているか又は海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所においては、領海の幅を測定するための基線を引くにあたって、適当な地点を結ぶ直線基線の方法を用いることができる。

2 直線基線は、海岸の一般的な方向から著しく離れて引いてはならず、また、その内側の水域は、内水としての規制を受けるために陸地と十分に密接な関連を有しなければならない。

3 直線基線は、低潮高地との間に引いてはならない。ただし、恒久的に海面上にある燈台その他これに類する施設が低潮高地の上に建設されている場合は、この限りではない。

4 直線基線の方法が1の規定に基づいて適用される場合には、特定の基線を決定するに当たり、当該地域に特有な経済的利益でその現実性及び重要性が長期間の慣行によって明確に証明されているものを考慮に入れることができる。

5 いずれの国も、他国のの領海を公海から隔離するように直線基線の方法を適用することができない。

6 沿岸国は、海図上に直線基線を明白に表示し、かつ、この海図を適当に公表しなければならない。

第五条 内水

1 領海の基線の陸地側の水域は、沿岸国の内水の一部を構成する。

2 第四条の規定に従って設定した直線基線が従来領海又は公海の一部とみなされてきた区域を内水として取り囲むこととなる場合には、第十四条から第二十三条までに定める無害通航権は、これらの水域において存続する。

第六条 領海の外側の限界

領海の外側の限界は、いずれの点をとっても基線上の最も近い点からの距離が領海の幅に等しい線とする。

第七条 湾

1 この条は、海岸が単一の国に属する湾についてのみ規定する。

2 この条の規定の適用上、湾とは、奥行が湾口の幅との対比において十分に深いため、陸地に囲まれた水域を含み、かつ、単なる海岸の湾曲以上のものを構成する明白な湾入をいう。ただし、湾入は、その面積が湾口を横切って引いた線を直径とする半円の面積以上のものでないが限り、湾とはみなされない。

3 測定上、湾入の面積は、その海岸の低潮線と天然の入口の両側の低潮線上の点を結ぶ線とにより囲まれる水域の面積とする。島が存在するために湾入が二以上の湾口を有する場合には、それぞれの湾口に引いた線の長さの合計に等しい長さの線上に半円を描くものとする。湾入内にある島は、湾入の水域の一部とみなす。

4 湾の天然の入口の両側の低潮線上の点の間の距離が二十四海里をこえないときは、これらの点を結ぶ閉鎖線を引き、その線の内側の水域を内水とする。

5 湾の天然の入口の両側の低潮線上の点の間の距離が二十四海里をこえるときは、二十四海里の直線基線を、この長さの線で囲むことができる最大の水域を囲むような方法で湾内に引くものとする。

6 この条の規定は、いわゆる歴史的湾について適用せず、また、第四条に定める直線基線の方法が適用される場合についても適用しない。

第八条 港湾工作物

 領海の限界の画定上、港湾施設の不可分の一部をなす恒久的な港湾工作物で最も外側にあるものは、海岸の一部を構成するものとみなされる。

第九条 停泊地

 積卸し及び船舶の投錨のために通常使用されている停泊地は、その全部又は一部が領海の外側の限界より外方にある場合にも、領海とみなされる。沿岸国は、それらの停泊地を明らかに画定し、それらをその境界線とともに海図上に表示し、かつ、その海図を適当に公表しなければならない。

第十条 島

1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。

2 島の領海は、この条約の規定に従って測定される。

第十一条 低潮高地

1 低潮高地とは、自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ、水面上にあるが、高潮時には水中に没するものをいう。低潮高地の全部又は一部が本土又は島から領海の幅をこえない距離にあるときは、その低潮線は、領海の幅を測定するための基線として用いることができる。

2 低潮高地は、その全部が本土又は島から領海の幅をこえる距離にあるときは、それ自体の領海を有しない。

第十二条 二国の領海の境界線

1 二国の海岸が向かい合っているか又は隣接しているときは、いずれの国も、両国間に別段の合意がない限り、いずれの点をとっても両国の領海の幅を測定するための基線上の最も近い点から等しい距離にある中間線をこえてその領海を拡張することができない。ただし、この規定は、これと異なる方法で両国の領海の境界を定めることが歴史的権原その他特別の事情により必要であるときは、適用しない。

2 向かい合っているか又は隣接している二国の領海の間の境界線は、沿岸国が公認する大縮尺海図に記載しなければならない。

第十三条 河口の基線

 河川が海に直接流入している場合には、基線は、河口を横切りその河川の両岸の低潮線上の点の間に引いた直線とする。

第三章 無害通航権[編集]

A すべての船舶に適用される規則[編集]

第十四条 無害通航権

1 この条約の規定に従うことを条件として、沿岸国であるかどうかを問わず、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有する。

2 通航とは、内水に入ることなく領海を通過するため、内水に入るため、又は内水から公海に向かうために領海を航行することをいう。

3 停船及び投錨は、航海に通常附随するものである場合又は不可抗力若しくは遭難により必要とされる場合に限り、通航に含まれる。

4 通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約の規定及び国際法の他の規則に従って行なわなければならない。

5 沿岸国がその領海における外国漁船の漁獲を防止するために制定して公布する法令に外国漁船が従わないときは、その外国漁船の通行は、無害とはされない。

6 潜水船は、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。

第十五条 沿岸国の義務

1 沿岸国は、領海の無害通航を妨害してはならない。

2 沿岸国は、その領海内における航行上の危険で自国が知っているものを適当に公表しなければならない。

第十六条 沿岸国の権利

1 沿岸国は、無害でない通航を防止するため、その領海内において必要な措置を執ることができる。

2 沿岸国は、また、船舶が内水に向かって航行している場合には、その船舶が内水に入るために従うべき条件に違反することを防止するため、必要な措置を執る権利を有する。

3 4の規定に従うことを条件として、沿岸国は、自国の安全の保護のため不可欠である場合には、その領海内の特定の区域において、外国船舶の間に差別を設けることなく、外国船舶の無害通航を一時的に停止することができる。このような停止は、適当な方法で公表された後においてのみ、効力を有するものとする。

4 外国船舶の無害通航は、公海の一部分と公海の他の部分又は外国の領海との間における国際航行に使用される海峡においては、停止してはならない。

第十七条 外国船舶の法令遵守の義務

 無害通航権を行使する外国船舶は、沿岸国がこの条約の規定及び国際法の他の規則に従って制定した法令、特に運送及び航行に関する法令に従わなければならない。

B 商船に適用される規則[編集]

第十八条 課徴金

1 外国船舶に対しては、領海の通行のみを理由とするいかなる課徴金をも課することができない。

2 領海を通航する外国船舶に対しては、その船舶に提供された特定の役務の対価としてのみ、課徴金を課することができる。これらの課徴金は、差別なく課するものとする。

第十九条 刑事裁判権

1 沿岸国の刑事裁判権は、次の場合を除き、領海を通航している外国船舶において、その通航中に当該船舶内で行われた犯罪に関連していずれかの者を逮捕し、又は捜査を行うために行使してはならない。

(a) 犯罪の結果が沿岸国に及ぶ場合

(b) 犯罪が沿岸国の平和又は領海の秩序を乱す性質のものである場合

(c) 当該船舶の船長又は当該船舶の旗国の領事が沿岸国の当局に対して援助を要請した場合

(d) 麻薬の不法な取引を抑止するために必要である場合

2 1の規定は、沿岸国が、内水を出て領海を通航している外国船舶において逮捕又は捜査を行なうため、自国の法令で認められている措置を執る権利に影響を及ぼすものではない。

3 1及び2に定める場合においては、沿岸国は、船長の要請があるときは、措置を執る前に当該船舶の旗国の領事当局に通告し、かつ、その当局と当該船舶の乗組員との間の連絡を容易にするものとする。緊急の場合には、この通告は、措置を執っている間に行なうことができる。

4 沿岸国の当局は、逮捕を行うべきかどうか、また、いかなる方法によって逮捕を行うべきかを考慮するにあたり、航行の利益に対して妥当な考慮を払わなければならない。

5 沿岸国は、外国の港を出て内水に入ることなしに単に領海を通航している外国船舶内において、その船舶が領海に入る前に行なわれた犯罪に関連していずれかの者を逮捕し、又は捜査を行うため、いかなる措置をも執ることができない。

第二十条 民事裁判権

1 沿岸国は、領海を通航している外国船舶内にある人に関して民事裁判権を行使するために当該船舶を停止させ、又はその航路を変更させてはならない。

2 沿岸国は、船舶が沿岸国の水域を航行している間に又はその水域を航行するためにその船舶について生じた債務又は責任に関する場合を除き、その船舶に対し民事上の強制執行又は保全処分を行うことができない。

3 2の規定は、沿岸国が、領海に停泊しているか又は内水を出て領海を通航している外国船舶に対し、自国の法令に従って民事上の強制執行又は保全処分を行なう権利を害するものではない。

C 軍艦以外の政府船舶に適用される規則[編集]

第二十一条 商業的目的のために運航する政府船舶

 この章のA及びBの規定は、また、商業的目的のために運航する政府船舶についても適用する。

第二十二条 非商業的目的のために運航する政府船舶

1 この章のA及び第十八条の規定は、非商業的目的のために運航する政府船舶について適用する。

2 1に掲げる規定による例外を除き、この条約のいかなる規定も、前記の船舶がこの条約の規定又は国際法の他の規則に基づいて享有する免除に影響を及ぼすものではない。

D 軍艦に適用される規則[編集]

第二十三条 軍艦に対する退去要求

 軍艦が領海の通行に関する沿岸国の規則を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行なわれた遵守の要請を無視した場合には、沿岸国は、その軍艦に対し領海から退去することを要求することができる。

第二部 接続水域[編集]

第二十四条 接続水域

1 沿岸国は、自国の領海に接続する公海上の区域において、次のことに必要な規制を行なうことができる。

(a) 自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の規則の違反を防止すること。

(b) 自国の領土又は領海内で行なわれた(a)の規則の違反を処罰すること。

2 接続水域は、領海の幅を測定するための基線から十二海里をこえて拡張することができない。

3 二国の海岸が向かい合っているか又は隣接しているときは、いずれの国も、両国間に別段の合意がない限り、いずれの点をとっても両国の領海の幅を測定するための基線上の最も近い点から等しい距離にある中間線を越えてその接続水域を拡張することができない。

第三部 最終条項[編集]

第二十五条 他の国際協定との関係

 この条約の規定は、すでに効力を有する条約その他の国際協定の当事国間においては、それらに影響を及ぼすものではない。

第二十六条 署名

 この条約は、国際連合及びそのいずれかの専門機関の加盟国並びにその他の国でこの条約の当事国となるように国際連合の総会が招請したものによる署名のため、千九百五十八年十月三十一日まで開放しておく。

第二十七条 批准

 この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託するものとする。

第二十八条 加入

 この条約は、第二十六条に規定するいずれかの種類に属する国による加入ののため、開放しておく。加入書は、国際連合事務総長に寄託するものとする。

第二十九条 効力発生

1 この条約は、二十二番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。

2 この条約は、二十二番目の批准書又は加入書が寄託された後にこの条約を批准し又はこれに加入する国については、これらの国が批准書又は加入書を寄託した日の後三十日目の日に効力を生ずる。

第三十条 改正

1 この条約が効力を生じた日から五年の期間を経過した後は、いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、いつでもこの条約の改正のための要請を行なうことができる。

2 国際連合の総会は、1の要請に関連して執るべき措置がある場合には、その措置について決定を行なうものとする。

第三十一条 寄託者の通報の義務

 国際連合事務総長は、国際連合のすべての加盟国その他第二十六条に規定する国に次の事項を通報するものとする。

(a) 第二十六条、第二十七条又は第二十八条の規定に従って行なわれるこの条約の署名及び批准書又は加入書の寄託

(b) 第二十九条の規定に従ってこの条約が効力を生ずる日

(c) 第三十条の規定に従って行なわれる改正の要請

第三十二条 条約正文、寄託者及び認証謄本

 この条約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語の本文をひとしく正文とし、その原本は、国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、第二十六条に規定するすべての国にその認証謄本を送付するものとする。

末文[編集]

 以上の証拠として、下名の全権委員は、このためそれぞれの政府から正当に委任を受け、この条約に署名した。

 千九百五十八年四月二十九日にジュネーヴで作成した。

(以下省略)

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。