コンテンツにスキップ

過零丁洋

提供:Wikisource
白文 書き下し文 訳文
辛苦遭逢起一経 辛苦遭逢しんくそうほう一経いっけいより起こる 苦労して聖人が書いた本を読んで、進士に及第して仕官にして身を起こし
干戈落四周星 干戈かんか落々たり、四周星ししゅうせい 干(たて)と戈(ほこ)を取って、戦争による国難の中で4年の歳月を送った
山河破砕風 山河破砕して、かぜじょただよわし (国の)山河は荒れはて、柳の花が風に舞うよう
身世飄揺雨打萍 身世しんせい飄揺ひょうようあめへいを打つ 自分の身も世の中を漂って、まるで雨が浮き草を打つよう
恐灘説皇恐 皇恐灘頭こうきょうたんとう、皇恐を 皇恐灘のあたりでは、国家滅亡の恐れを説き
零丁洋裏嘆零丁 零丁洋裏れいていようり、零丁をなげ 零丁洋を渡っては、自分が孤独で落ちぶれる零丁を嘆く
人生自古誰無死 人生、いにしえり誰か死無からん 人生は昔より誰か死なないものなどあろうか
留取丹心照汗青 丹心たんしん留取りゅうしゅして汗青かんせいを照らさん どうせ死ぬならば真心を留めて歴史の上を照らそう