資金決済に関する法律

提供:Wikisource

第一章 総則[編集]

(目的)

第一条
この法律は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び利便性の向上に資することを目的とする。

(定義)

第二条
  1. この法律において「前払式支払手段発行者」とは、次条第六項に規定する自家型発行者及び同条第七項に規定する第三者型発行者をいう。
  2. この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引(少額の取引として政令で定めるものに限る。)を業として営むことをいう。
  3. この法律において「資金移動業者」とは、第三十七条の登録を受けた者をいう。
  4. この法律において「外国資金移動業者」とは、この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において第三十七条の登録と同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を受けて為替取引を業として営む者をいう。
  5. この法律において「資金清算業」とは、為替取引に係る債権債務の清算のため、債務の引受け、更改その他の方法により、銀行等の間で生じた為替取引に基づく債務を負担することを業として行うことをいう。
  6. この法律において「資金清算機関」とは、第六十四条第一項の免許を受けた者をいう。
  7. この法律において「認定資金決済事業者協会」とは、第八十七条の規定による認定を受けた一般社団法人をいう。
  8. この法律において「指定紛争解決機関」とは、第九十九条第一項の規定による指定を受けた者をいう。
  9. この法律において「信託会社等」とは、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条若しくは第五十三条第一項の免許を受けた信託会社若しくは外国信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。
  10. この法律において「銀行等」とは、次に掲げる者をいう。
    一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行
    二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行
    三 信用金庫
    四 信用金庫連合会
    五 労働金庫
    六 労働金庫連合会
    七 信用協同組合
    八 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会
    九 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合
    十 農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会
    十一 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合
    十二 水産業協同組合法第八十七条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合連合会
    十三 水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
    十四 水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
    十五 農林中央金庫
    十六 株式会社商工組合中央金庫
  11. この法律において「破産手続開始の申立て等」とは、破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、更生手続開始の申立て、特別清算開始の申立て又は外国倒産処理手続の承認の申立て(外国の法令上これらに相当する申立てを含む。)をいう。
  12. この法律において「銀行法等」とは、銀行法長期信用銀行法信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)、中小企業等協同組合法協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)、農業協同組合法水産業協同組合法農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)又は株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)をいう。

第二章 前払式支払手段[編集]

第一節 総則[編集]

(定義)

第三条
  1. この章において「前払式支払手段」とは、次に掲げるものをいう。
    一 証票、電子機器その他の物(以下この章において「証票等」という。)に記載され、又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下この項において同じ。)により記録される金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第三項において同じ。)に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)であって、その発行する者又は当該発行する者が指定する者(次号において「発行者等」という。)から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの
    二 証票等に記載され、又は電磁的方法により記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て当該数量の記録の加算が行われるものを含む。)であって、発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は当該役務の提供を請求することができるもの
  2. この章において「基準日未使用残高」とは、前払式支払手段を発行する者が毎年三月三十一日及び九月三十日(以下この章において「基準日」という。)までに発行したすべての前払式支払手段の当該基準日における未使用残高(次の各号に掲げる前払式支払手段の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。)の合計額として内閣府令で定めるところにより算出した額をいう。
    一 前項第一号の前払式支払手段 当該基準日において代価の弁済に充てることができる金額
    二 前項第二号の前払式支払手段 当該基準日において給付又は提供を請求することができる物品又は役務の数量を内閣府令で定めるところにより金銭に換算した金額
  3. この章において「支払可能金額等」とは、第一項第一号の前払式支払手段にあってはその発行された時において代価の弁済に充てることができる金額をいい、同項第二号の前払式支払手段にあってはその発行された時において給付又は提供を請求することができる物品又は役務の数量をいう。
  4. この章において「自家型前払式支払手段」とは、前払式支払手段を発行する者(当該発行する者と政令で定める密接な関係を有する者(次条第五号及び第三十二条において「密接関係者」という。)を含む。以下この項において同じ。)から物品の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合に限り、これらの代価の弁済のために使用することができる前払式支払手段又は前払式支払手段を発行する者に対してのみ、物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる前払式支払手段をいう。
  5. この章において「第三者型前払式支払手段」とは、自家型前払式支払手段以外の前払式支払手段をいう。
  6. この章において「自家型発行者」とは、第五条第一項の届出書を提出した者(第三十三条第一項の規定による発行の業務の全部の廃止の届出をした者であって、第二十条第一項の規定による払戻しを完了した者を除く。)をいう。
  7. この章において「第三者型発行者」とは、第七条の登録を受けた法人をいう。
  8. この章において「基準期間」とは、基準日の翌日から次の基準日までの期間をいう。

(適用除外)

第四条
次に掲げる前払式支払手段については、この章の規定は、適用しない。
一 乗車券、入場券その他これらに準ずるものであって、政令で定めるもの
二 発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できる前払式支払手段
三 国又は地方公共団体(次号において「国等」という。)が発行する前払式支払手段
四 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人又は特別の法律により地方公共団体が設立者となって設立された法人であって、その資本金又は出資の額の全部が国等からの出資によるものその他の国等に準ずるものとして政令で定める法人が発行する前払式支払手段
五 専ら発行する者(密接関係者を含む。)の従業員に対して発行される自家型前払式支払手段(専ら当該従業員が使用することとされているものに限る。)その他これに類するものとして政令で定める前払式支払手段
六 割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)その他の法律の規定に基づき前受金の保全のための措置が講じられている取引に係る前払式支払手段として政令で定めるもの
七 その利用者のために商行為となる取引においてのみ使用することとされている前払式支払手段

第二節 自家型発行者[編集]

(自家型発行者の届出)

第五条
  1. 前払式支払手段を発行する法人(人格のない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)又は個人のうち、自家型前払式支払手段のみを発行する者は、基準日においてその自家型前払式支払手段の基準日未使用残高がその発行を開始してから最初に基準額(第十四条第一項に規定する基準額をいう。)を超えることとなったときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。自家型前払式支払手段の発行の業務の全部を廃止した後再びその発行を開始したときも、同様とする。
    一 氏名、商号又は名称及び住所
    二 法人にあっては、資本金又は出資の額
    三 前払式支払手段の発行の業務に係る営業所又は事務所の名称及び所在地
    四 法人(人格のない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)にあっては、その代表者又は管理人の氏名
    五 当該基準日における基準日未使用残高
    六 前払式支払手段の種類、名称及び支払可能金額等
    七 物品の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合にこれらの代価の弁済のために使用し、又は物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限が設けられているときは、当該期間又は期限
    八 前払式支払手段の発行の業務の内容及び方法
    九 前払式支払手段の発行及び利用に関する利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先
    十 その他内閣府令で定める事項
  2. 前項の届出書には、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
  3. 自家型発行者は、第一項各号(第五号を除く。)に掲げる事項のいずれかに変更があったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(自家型発行者名簿)

第六条
内閣総理大臣は、自家型発行者について、自家型発行者名簿を作成し、これを公衆の縦覧に供しなければならない。

第三節 第三者型発行者[編集]

(第三者型発行者の登録)

第七条
第三者型前払式支払手段の発行の業務は、内閣総理大臣の登録を受けた法人でなければ、行ってはならない。

(登録の申請)

第八条
  1. 前条の登録を受けようとする者は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
    一 商号又は名称及び住所
    二 資本金又は出資の額
    三 前払式支払手段の発行の業務に係る営業所又は事務所の名称及び所在地
    四 役員の氏名又は名称
    五 前払式支払手段の種類、名称及び支払可能金額等
    六 物品の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合にこれらの代価の弁済のために使用し、又は物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限が設けられているときは、当該期間又は期限
    七 前払式支払手段の発行の業務の内容及び方法
    八 前払式支払手段の発行及び利用に関する利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先
    九 その他内閣府令で定める事項
  2. 前項の登録申請書には、第十条第一項各号に該当しないことを誓約する書面、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

(第三者型発行者登録簿)

第九条
  1. 内閣総理大臣は、第七条の登録の申請があったときは、次条第一項の規定によりその登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を第三者型発行者登録簿に登録しなければならない。
    一 前条第一項各号に掲げる事項
    二 登録年月日及び登録番号
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
  3. 内閣総理大臣は、第三者型発行者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(登録の拒否)

第十条
  1. 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
    一 法人でないもの(外国の法令に準拠して設立された法人で国内に営業所又は事務所を有しないものを含む。)
    二 次のいずれにも該当しない法人
    イ 純資産額が、発行する前払式支払手段の利用が可能な地域の範囲その他の事情に照らして政令で定める金額以上である法人
    ロ 営利を目的としない法人で政令で定めるもの
    三 前払式支払手段により購入若しくは借受けを行い、若しくは給付を受けることができる物品又は提供を受けることができる役務が、公の秩序又は善良の風俗を害し、又は害するおそれがあるものでないことを確保するために必要な措置を講じていない法人
    四 加盟店(前払式支払手段により購入若しくは借受けを行い、若しくは給付を受けることができる物品の販売者若しくは貸出人又は提供を受けることができる役務の提供者をいう。第三十二条において同じ。)に対する支払を適切に行うために必要な体制の整備が行われていない法人
    五 この章の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていない法人
    六 他の第三者型発行者が現に用いている商号若しくは名称と同一の商号若しくは名称又は他の第三者型発行者と誤認されるおそれのある商号若しくは名称を用いようとする法人
    七 第二十七条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録を取り消され、又はこの法律(この章の規定及び当該規定に係る第八章の規定に限る。以下この項において同じ。)に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。第九号ホにおいて同じ。)を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない法人
    八 この法律又はこの法律に相当する外国の法令の規定により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。次号ニにおいて同じ。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人
    九 役員のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
    イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらに相当する者
    ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
    ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
    ニ この法律又はこの法律に相当する外国の法令の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
    ホ 第三者型発行者が第二十七条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録を取り消された場合又は法人がこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にこれらの法人の役員であった者で、当該取消しの日から三年を経過しない者その他これに準ずるものとして政令で定める者
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を登録申請者に通知しなければならない。

(変更の届出)

第十一条
  1. 第三者型発行者は、第八条第一項各号に掲げる事項のいずれかに変更があったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、届出があった事項を第三者型発行者登録簿に登録しなければならない。

(名義貸しの禁止)

第十二条
第三者型発行者は、自己の名義をもって、他人に第三者型前払式支払手段の発行の業務を行わせてはならない。

第四節 表示、発行保証金の供託その他の義務[編集]

(表示又は情報の提供)

第十三条
  1. 前払式支払手段発行者は、前払式支払手段を発行する場合(当該前払式支払手段に係る証票等又は当該前払式支払手段と一体となっている書面その他の物を利用者に対し交付することがない場合を除く。)には、その発行する前払式支払手段(当該前払式支払手段と一体となっている書面その他の物を含む。)に、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を表示しなければならない。
    一 氏名、商号又は名称
    二 前払式支払手段の支払可能金額等
    三 物品の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合にこれらの代価の弁済のために使用し、又は物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限が設けられているときは、当該期間又は期限
    四 前払式支払手段の発行及び利用に関する利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先
    五 その他内閣府令で定める事項
  2. 前払式支払手段発行者は、前払式支払手段を発行する場合(当該前払式支払手段に係る証票等又は当該前払式支払手段と一体となっている書面その他の物を利用者に対し交付することがない場合に限る。)には、内閣府令で定める方法により、前項各号に掲げる事項に関する情報を利用者に提供しなければならない。
  3. 第一項の場合において、前払式支払手段発行者が加入する認定資金決済事業者協会が当該前払式支払手段発行者に係る同項第四号及び第五号に掲げる事項を前払式支払手段の利用者に周知する場合その他の内閣府令で定める場合には、当該前払式支払手段発行者は、当該事項を表示しないことができる。

(発行保証金の供託)

第十四条
  1. 前払式支払手段発行者は、基準日未使用残高が政令で定める額(以下この章において「基準額」という。)を超えるときは、当該基準日未使用残高の二分の一の額(以下この章において「要供託額」という。)以上の額に相当する額の発行保証金を、内閣府令で定めるところにより、主たる営業所又は事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
  2. 前払式支払手段発行者は、第三十一条第一項の権利の実行の手続の終了その他の事実の発生により、発行保証金の額(次条に規定する保全金額及び第十六条第一項に規定する信託財産の額の合計額を含む。第十八条第二号及び第二十三条第一項第三号において同じ。)がその事実が発生した日の直前の基準日における要供託額(第二十条第一項の規定による払戻しの手続又は第三十一条第一項の権利の実行の手続が終了した日の直前の基準日にあっては、これらの手続に係る前払式支払手段がないものとみなして内閣府令で定める方法により計算された額)に不足することとなったときは、内閣府令で定めるところにより、その不足額について供託を行い、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
  3. 発行保証金は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める債券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。第十六条第三項において同じ。)をもってこれに充てることができる。この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。

(発行保証金保全契約)

第十五条
前払式支払手段発行者は、政令で定めるところにより、発行保証金保全契約(政令で定める要件を満たす銀行等その他政令で定める者が前払式支払手段発行者のために内閣総理大臣の命令に応じて発行保証金を供託する旨の契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該発行保証金保全契約の効力の存する間、保全金額(当該発行保証金保全契約において供託されることとなっている金額をいう。第十七条において同じ。)につき、発行保証金の全部又は一部の供託をしないことができる。

(発行保証金信託契約)

第十六条
  1. 前払式支払手段発行者は、信託会社等との間で、発行保証金信託契約(当該信託会社等が内閣総理大臣の命令に応じて信託財産を発行保証金の供託に充てることを信託の目的として当該信託財産の管理その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の信託契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、内閣総理大臣の承認を受けたときは、当該発行保証金信託契約に基づき信託財産が信託されている間、当該信託財産の額につき、発行保証金の全部又は一部の供託をしないことができる。
  2. 発行保証金信託契約は、次に掲げる事項をその内容とするものでなければならない。
    一 発行保証金信託契約を締結する前払式支払手段発行者が発行する前払式支払手段の保有者を受益者とすること。
    二 受益者代理人を置いていること。
    三 内閣総理大臣の命令に応じて、信託会社等が信託財産を換価し、供託をすること。
    四 その他内閣府令で定める事項
  3. 発行保証金信託契約に基づき信託される信託財産の種類は、金銭若しくは預貯金(内閣府令で定めるものに限る。)又は国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める債券に限るものとする。この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。

(供託命令)

第十七条
内閣総理大臣は、前払式支払手段の利用者の利益の保護のために必要があると認めるときは、発行保証金保全契約若しくは発行保証金信託契約を締結した前払式支払手段発行者又はこれらの契約の相手方に対し、保全金額又は信託財産を換価した額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

(発行保証金の取戻し等)

第十八条
発行保証金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、その全部又は一部を取り戻すことができる。
一 基準日未使用残高が基準額以下であるとき。
二 発行保証金の額が要供託額を超えるとき。
三 第三十一条第一項の権利の実行の手続が終了したとき。
四 前三号に掲げるもののほか、前払式支払手段の利用者の利益の保護に支障がない場合として政令で定める場合

(発行保証金の保管替えその他の手続)

第十九条
この節に規定するもののほか、前払式支払手段発行者の主たる営業所又は事務所の所在地の変更に伴う発行保証金の保管替えその他発行保証金の供託に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(保有者に対する前払式支払手段の払戻し)

第二十条
  1. 前払式支払手段発行者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前払式支払手段の保有者に、当該前払式支払手段の残高として内閣府令で定める額を払い戻さなければならない。
    一 前払式支払手段の発行の業務の全部又は一部を廃止した場合(相続又は事業譲渡、合併若しくは会社分割その他の事由により当該業務の承継が行われた場合を除く。)
    二 当該前払式支払手段発行者が第三者型発行者である場合において、第二十七条第一項又は第二項の規定により第七条の登録を取り消されたとき。
    三 その他内閣府令で定める場合
  2. 前払式支払手段発行者は、前項各号に掲げる場合を除き、その発行する前払式支払手段について、保有者に払戻しをしてはならない。ただし、払戻金額が少額である場合その他の前払式支払手段の発行の業務の健全な運営に支障が生ずるおそれがない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(情報の安全管理)

第二十一条
前払式支払手段発行者は、内閣府令で定めるところにより、その発行の業務に係る情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない。

第五節 監督[編集]

(帳簿書類)

第二十二条
前払式支払手段発行者は、内閣府令で定めるところにより、その前払式支払手段の発行の業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(報告書)

第二十三条
  1. 前払式支払手段発行者は、基準日ごとに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した前払式支払手段の発行の業務に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
    一 当該基準日を含む基準期間において発行した前払式支払手段の発行額
    二 当該基準日における前払式支払手段の基準日未使用残高
    三 当該基準日未使用残高に係る発行保証金の額
    四 その他内閣府令で定める事項
  2. 前項の報告書には、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
  3. 自家型発行者については、基準日未使用残高が基準額以下となった基準日の翌日から当該基準日以後の基準日であって再び基準日未使用残高が基準額を超えることとなった基準日の前日までの間の基準日については、第一項の規定は、適用しない。

(立入検査等)

第二十四条
  1. 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認めるときは、当該前払式支払手段発行者に対し当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該前払式支払手段発行者の営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  2. 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者に対し当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  3. 前項の前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、同項の規定による報告若しくは資料の提出又は質問若しくは検査を拒むことができる。

(業務改善命令)

第二十五条
内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の前払式支払手段の発行の業務の運営に関し、前払式支払手段の利用者の利益を害する事実があると認めるときは、その利用者の利益の保護のために必要な限度において、当該前払式支払手段発行者に対し、当該業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(自家型発行者に対する業務停止命令)

第二十六条
内閣総理大臣は、自家型発行者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内の期間を定めてその発行の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
一 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
二 その発行する前払式支払手段に係る第三十一条第一項の権利の実行が行われるおそれがある場合において、当該前払式支払手段の利用者の被害の拡大を防止することが必要であると認められるとき。

(第三者型発行者に対する登録の取消し等)

第二十七条
  1. 内閣総理大臣は、第三者型発行者が次の各号のいずれかに該当するときは、第七条の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその第三者型前払式支払手段の発行の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
    一 第十条第一項各号に該当することとなったとき。
    二 不正の手段により第七条の登録を受けたとき。
    三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
    四 その発行する前払式支払手段に係る第三十一条第一項の権利の実行が行われるおそれがある場合において、当該前払式支払手段の利用者の被害の拡大を防止することが必要であると認められるとき。
  2. 内閣総理大臣は、第三者型発行者の営業所若しくは事務所の所在地を確知できないとき、又は第三者型発行者を代表する役員の所在を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該第三者型発行者から申出がないときは、当該第三者型発行者の第七条の登録を取り消すことができる。
  3. 前項の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。

(登録の抹消)

第二十八条
内閣総理大臣は、前条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録を取り消したとき、又は第三十三条第二項の規定により第七条の登録がその効力を失ったときは、当該登録を抹消しなければならない。

(監督処分の公告)

第二十九条
内閣総理大臣は、第二十六条又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による処分をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

第六節 雑則[編集]

(自家型前払式支払手段の発行の業務の承継に係る特例)

第三十条
  1. 前払式支払手段発行者以外の者が相続又は事業譲渡、合併若しくは会社分割その他の事由により前払式支払手段発行者から自家型前払式支払手段の発行の業務を承継した場合(第三者型前払式支払手段の発行の業務を承継した場合を除く。)において、当該業務の承継に係る自家型前払式支払手段の承継が行われた日の直前の基準日未使用残高が基準額を超えるときは、当該前払式支払手段発行者以外の者を当該自家型前払式支払手段を発行する自家型発行者とみなして、この法律(第五条を除く。)の規定を適用する。
  2. 前項の規定により自家型発行者とみなされた者は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
    一 自家型前払式支払手段の発行の業務を承継した旨
    二 第五条第一項第一号から第四号までに掲げる事項
    三 自家型前払式支払手段の承継が行われた日の直前の基準日未使用残高
    四 承継した自家型前払式支払手段に係る第五条第一項第六号から第十号までに掲げる事項
  3. 前項の届出書には、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
  4. 第一項の規定により自家型発行者とみなされた者は、第二項第二号又は第四号に掲げる事項のいずれかに変更があったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(発行保証金の還付)

第三十一条
  1. 前払式支払手段の保有者は、前払式支払手段に係る債権に関し、当該前払式支払手段に係る発行保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
  2. 内閣総理大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合において、前払式支払手段の保有者の利益の保護を図るために必要があると認めるときは、前項の権利を有する者に対し、六十日を下らない一定の期間内に内閣総理大臣に債権の申出をすべきこと及びその期間内に債権の申出をしないときは当該公示に係る発行保証金についての権利の実行の手続から除斥されるべきことを公示しなければならない。
    一 前項の権利の実行の申立てがあったとき。
    二 前払式支払手段発行者について破産手続開始の申立て等が行われたとき。
  3. 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、第一項の権利の実行に関する事務を銀行等その他の政令で定める者(次項及び第五項において「権利実行事務代行者」という。)に委託することができる。
  4. 権利実行事務代行者は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定により委託を受けた業務を行うことができる。
  5. 第三項の規定により業務の委託を受けた権利実行事務代行者又はその役員若しくは職員であって当該委託を受けた業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
  6. 第二項から前項までに規定するもののほか、第一項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。

(発行保証金の還付への協力)

第三十二条
前払式支払手段発行者から発行の業務の委託を受けた者、密接関係者、加盟店その他の当該前払式支払手段発行者の関係者は、当該前払式支払手段発行者が発行した前払式支払手段に係る前条第一項の権利の実行に関し内閣総理大臣から必要な協力を求められた場合には、これに応ずるよう努めるものとする。

(廃止の届出等)

第三十三条
  1. 前払式支払手段発行者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、遅滞なく、内閣総理大臣に届け出なければならない。
    一 前払式支払手段の発行の業務の全部又は一部を廃止したとき。
    二 第三十一条第二項第二号に掲げるとき。
  2. 第三者型発行者が第三者型前払式支払手段の発行の業務の全部を廃止したときは、当該第三者型発行者の第七条の登録は、その効力を失う。

(登録の取消し等に伴う債務の履行の完了等)

第三十四条
第三者型発行者について、第二十七条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録が取り消されたとき、又は前条第二項の規定により第七条の登録が効力を失ったときは、当該第三者型発行者であった者は、その発行した第三者型前払式支払手段に係る債務の履行を完了する目的の範囲内においては、なお第三者型発行者とみなす。

(銀行等に関する特例)

第三十五条
政令で定める要件を満たす銀行等その他政令で定める者に該当する前払式支払手段発行者については、第十四条第一項の規定は、適用しない。

(外国において発行される前払式支払手段の勧誘の禁止)

第三十六条
外国において前払式支払手段の発行の業務を行う者は、国内にある者に対して、その外国において発行する前払式支払手段の勧誘をしてはならない。

第三章 資金移動[編集]

第一節 総則[編集]

(資金移動業者の登録)

第三十七条
内閣総理大臣の登録を受けた者は、銀行法第四条第一項及び第四十七条第一項の規定にかかわらず、資金移動業を営むことができる。

(登録の申請)

第三十八条
  1. 前条の登録を受けようとする者は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
    一 商号及び住所
    二 資本金の額
    三 資金移動業に係る営業所の名称及び所在地
    四 取締役及び監査役(委員会設置会社にあっては取締役及び執行役とし、外国資金移動業者にあってはこれらに準ずる者とする。第四十条第一項第十号において同じ。)の氏名
    五 会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
    六 外国資金移動業者にあっては、国内における代表者の氏名
    七 資金移動業の内容及び方法
    八 資金移動業を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る業務の内容並びにその委託先の氏名又は商号若しくは名称及び住所
    九 他に事業を行っているときは、その事業の種類
    十 その他内閣府令で定める事項
  2. 前項の登録申請書には、第四十条第一項各号に該当しないことを誓約する書面、財務に関する書類、資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備に関する事項を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

(資金移動業者登録簿)

第三十九条
  1. 内閣総理大臣は、第三十七条の登録の申請があったときは、次条第一項の規定によりその登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を資金移動業者登録簿に登録しなければならない。
    一 前条第一項各号に掲げる事項
    二 登録年月日及び登録番号
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
  3. 内閣総理大臣は、資金移動業者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(登録の拒否)

第四十条
  1. 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
    一 株式会社又は外国資金移動業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)でないもの
    二 外国資金移動業者にあっては、国内における代表者(国内に住所を有するものに限る。)のない法人
    三 資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない法人
    四 資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人
    五 この章の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていない法人
    六 他の資金移動業者が現に用いている商号若しくは名称と同一の商号若しくは名称又は他の資金移動業者と誤認されるおそれのある商号若しくは名称を用いようとする法人
    七 第五十六条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録を取り消され、第八十二条第一項若しくは第二項の規定により第六十四条第一項の免許を取り消され、又はこの法律若しくは銀行法等に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録若しくは免許(当該登録又は免許に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない法人
    八 この法律、銀行法等若しくは出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない法人
    九 他に行う事業が公益に反すると認められる法人
    十 取締役若しくは監査役又は会計参与(外国資金移動業者にあっては、国内における代表者を含む。以下この章において「取締役等」という。)のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
    イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらに相当する者
    ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
    ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    ニ この法律、銀行法等、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    ホ 資金移動業者が第五十六条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録を取り消された場合又は法人がこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にこの法人の取締役等であった者で、当該取消しの日から五年を経過しない者その他これに準ずるものとして政令で定める者
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を登録申請者に通知しなければならない。

(変更の届出)

第四十一条
  1. 資金移動業者は、第三十八条第一項各号に掲げる事項のいずれかに変更があったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
  2. 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、届出があった事項を資金移動業者登録簿に登録しなければならない。

(名義貸しの禁止)

第四十二条
資金移動業者は、自己の名義をもって、他人に資金移動業を営ませてはならない。

第二節 業務[編集]

(履行保証金の供託)

第四十三条
  1. 資金移動業者は、一月を超えない範囲内で内閣府令で定める期間ごとに、当該期間における要履行保証額の最高額(第四十七条第一号において「要供託額」という。)以上の額に相当する額の履行保証金を、当該期間の末日(同号において「基準日」という。)から一週間以内に、その本店(外国資金移動業者である資金移動業者にあっては、国内における主たる営業所。第四十八条において同じ。)の最寄りの供託所に供託しなければならない。
  2. 前項の「要履行保証額」とは、各営業日における未達債務の額(資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務の額であって内閣府令で定めるところにより算出した額をいう。以下この章において同じ。)と第五十九条第一項の権利の実行の手続に関する費用の額として内閣府令で定めるところにより算出した額の合計額(その合計額が小規模な資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務の履行を確保するために必要な額として政令で定める額以下である場合には、当該政令で定める額)をいう。
  3. 履行保証金は、国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める債券(社債、株式等の振替に関する法律第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。第四十五条第三項において同じ。)をもってこれに充てることができる。この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。

(履行保証金保全契約)

第四十四条
資金移動業者は、政令で定めるところにより、履行保証金保全契約(政令で定める要件を満たす銀行等その他政令で定める者が資金移動業者のために内閣総理大臣の命令に応じて履行保証金を供託する旨の契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該履行保証金保全契約の効力の存する間、保全金額(当該履行保証金保全契約において供託されることとなっている金額をいう。以下この章において同じ。)につき、履行保証金の全部又は一部の供託をしないことができる。

(履行保証金信託契約)

第四十五条
  1. 資金移動業者が、信託会社等との間で、履行保証金信託契約(当該信託会社等が内閣総理大臣の命令に応じて信託財産を履行保証金の供託に充てることを信託の目的として当該信託財産の管理その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の信託契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、内閣総理大臣の承認を受けた場合において、当該資金移動業者の各営業日において当該履行保証金信託契約に基づき信託されている信託財産の額が、その直前の営業日における要履行保証額(第四十三条第二項に規定する要履行保証額をいう。以下この章において同じ。)以上の額であるときは、同条第一項の規定は、適用しない。
  2. 履行保証金信託契約は、次に掲げる事項をその内容とするものでなければならない。
    一 履行保証金信託契約を締結する資金移動業者(以下この条において「信託契約資金移動業者」という。)が行う為替取引の利用者を受益者とすること。
    二 受益者代理人を置いていること。
    三 信託契約資金移動業者は、各営業日における要履行保証額を、その翌営業日までに信託会社等に通知すること。
    四 信託契約資金移動業者は、各営業日において信託されている信託財産の額が、その直前の営業日における要履行保証額以上の額となるよう、必要に応じてその財産を信託財産として拠出する義務を負うこと。
    五 信託会社等は、各営業日において信託されている信託財産の額が、その直前の営業日における要履行保証額以下となった場合には、当該信託財産に属する財産を信託契約資金移動業者に移転することができないこと。
    六 内閣総理大臣の命令に応じて、信託会社等が信託財産を換価し、供託をすること。
    七 その他内閣府令で定める事項
  3. 履行保証金信託契約に基づき信託される信託財産の種類は、金銭若しくは預貯金(内閣府令で定めるものに限る。)又は国債証券、地方債証券その他の内閣府令で定める債券に限るものとする。この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。
  4. 第一項の規定の適用を受けていた資金移動業者について、各営業日のいずれかの日(以下この項において「特定日」という。)において履行保証金信託契約に基づき信託されている信託財産の額がその直前の営業日における要履行保証額未満の額となった場合における当該特定日が属する期間(第四十三条第一項に規定する内閣府令で定める期間をいう。以下この項において同じ。)の直前の期間についての同条第一項の規定の適用については、同項中「当該期間の末日(同号において「基準日」という。)から一週間以内に」とあるのは、「第四十五条第一項に規定する履行保証金信託契約に基づき信託されている信託財産の額がその直前の営業日における要履行保証額未満の額となった日(同号において「基準日」という。)に」とする。

(供託命令)

第四十六条
内閣総理大臣は、資金移動業の利用者の利益の保護のために必要があると認めるときは、履行保証金保全契約若しくは履行保証金信託契約を締結した資金移動業者又はこれらの契約の相手方に対し、保全金額又は信託財産を換価した額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

(履行保証金の取戻し等)

第四十七条
履行保証金は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、その全部又は一部を取り戻すことができる。
一 基準日における要供託額が、その直前の基準日における履行保証金の額と保全金額の合計額を下回るとき。
二 第五十九条第一項の権利の実行の手続が終了したとき。
三 為替取引に関し負担する債務の履行を完了した場合として政令で定める場合

(履行保証金の保管替えその他の手続)

第四十八条
この節に規定するもののほか、資金移動業者の本店の所在地の変更に伴う履行保証金の保管替えその他履行保証金の供託に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

(情報の安全管理)

第四十九条
資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、資金移動業に係る情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない。

(委託先に対する指導)

第五十条
資金移動業者は、資金移動業を第三者に委託した場合には、内閣府令で定めるところにより、当該委託に係る業務の委託先に対する指導その他の当該業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

(利用者の保護等に関する措置)

第五十一条
資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供その他の資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

第三節 監督[編集]

(帳簿書類)

第五十二条
資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、その資金移動業に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(報告書)

第五十三条
  1. 資金移動業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、資金移動業に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
  2. 資金移動業者は、前項の報告書のほか、六月を超えない範囲内で内閣府令で定める期間ごとに、内閣府令で定めるところにより、未達債務の額及び履行保証金の供託、履行保証金保全契約又は履行保証金信託契約に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
  3. 前二項の報告書には、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

(立入検査等)

第五十四条
  1. 内閣総理大臣は、資金移動業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、資金移動業者に対し当該資金移動業者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該資金移動業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  2. 内閣総理大臣は、資金移動業の適正かつ確実な遂行のため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該資金移動業者から業務の委託を受けた者に対し当該資金移動業者の業務若しくは財産の状況に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該資金移動業者から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該資金移動業者の業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  3. 前項の資金移動業者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、同項の規定による報告若しくは資料の提出又は質問若しくは検査を拒むことができる。

(業務改善命令)

第五十五条
内閣総理大臣は、資金移動業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、その必要の限度において、資金移動業者に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(登録の取消し等)

第五十六条
  1. 内閣総理大臣は、資金移動業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第三十七条の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて資金移動業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
    一 第四十条第一項各号に該当することとなったとき。
    二 不正の手段により第三十七条の登録を受けたとき。
    三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
  2. 内閣総理大臣は、資金移動業者の営業所の所在地を確知できないとき、又は資金移動業者を代表する取締役若しくは執行役(外国資金移動業者である資金移動業者にあっては、国内における代表者)の所在を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該資金移動業者から申出がないときは、当該資金移動業者の第三十七条の登録を取り消すことができる。
  3. 前項の規定による処分については、行政手続法第三章の規定は、適用しない。

(登録の抹消)

第五十七条
内閣総理大臣は、前条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録を取り消したとき、又は第六十一条第二項の規定により第三十七条の登録がその効力を失ったときは、当該登録を抹消しなければならない。

(監督処分の公告)

第五十八条
内閣総理大臣は、第五十六条第一項又は第二項の規定による処分をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

第四節 雑則[編集]

(履行保証金の還付)

第五十九条
  1. 資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務に係る債権者は、履行保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
  2. 内閣総理大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合において、資金移動業の利用者の利益の保護を図るために必要があると認めるときは、前項の権利を有する者に対し、六十日を下らない一定の期間内に内閣総理大臣に債権の申出をすべきこと及びその期間内に債権の申出をしないときは当該公示に係る履行保証金についての権利の実行の手続から除斥されるべきことを公示する措置その他の同項の権利の実行のために必要な措置をとらなければならない。
    一 前項の権利の実行の申立てがあったとき。
    二 資金移動業者について破産手続開始の申立て等が行われたとき。
  3. 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、第一項の権利の実行に関する事務を銀行等その他の政令で定める者(次項及び第五項において「権利実行事務代行者」という。)に委託することができる。
  4. 権利実行事務代行者は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定により委託を受けた業務を行うことができる。
  5. 第三項の規定により業務の委託を受けた権利実行事務代行者又はその役員若しくは職員であって当該委託を受けた業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
  6. 第二項から前項までに規定するもののほか、第一項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。

(履行保証金の還付への協力)

第六十条
資金移動業者から資金移動業の委託を受けた者その他の当該資金移動業者の関係者は、当該資金移動業者の為替取引に係る前条第一項の権利の実行に関し内閣総理大臣から必要な協力を求められた場合には、これに応ずるよう努めるものとする。

(廃止の届出等)

第六十一条
  1. 資金移動業者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、遅滞なく、内閣総理大臣に届け出なければならない。
    一 資金移動業を廃止したとき。
    二 第五十九条第二項第二号に掲げるとき。
  2. 資金移動業者が資金移動業を廃止したときは、当該資金移動業者の第三十七条の登録は、その効力を失う。
  3. 資金移動業者は、資金移動業を廃止しようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、すべての営業所の公衆の目につきやすい場所に掲示しなければならない。
  4. 資金移動業者は、前項の規定による公告をしたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
  5. 資金移動業者は、第三項の規定による公告をした場合(事業譲渡、合併又は会社分割その他の事由により当該業務の承継に係る公告をした場合を除く。)には、その行う為替取引に関し負担する債務の履行を速やかに完了しなければならない。
  6. 会社法(平成十七年法律第八十六号)第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項の規定は、資金移動業者(外国資金移動業者を除く。)が電子公告(同法第二条第三十四号に規定する電子公告をいう。次項において同じ。)により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
  7. 会社法第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項、第九百四十一条第九百四十六条第九百四十七条第九百五十一条第二項、第九百五十三条並びに第九百五十五条の規定は、外国資金移動業者である資金移動業者が電子公告により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(登録の取消し等に伴う債務の履行の完了等)

第六十二条
資金移動業者について、第五十六条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録が取り消されたとき、又は前条第二項の規定により第三十七条の登録が効力を失ったときは、当該資金移動業者であった者は、その行う為替取引に関し負担する債務の履行を完了する目的の範囲内においては、なお資金移動業者とみなす。

(外国資金移動業者の勧誘の禁止)

第六十三条
第三十七条の登録を受けていない外国資金移動業者は、法令に別段の定めがある場合を除き、国内にある者に対して、為替取引の勧誘をしてはならない。

第四章 資金清算[編集]

第一節 総則[編集]

(資金清算機関の免許等)

第六十四条
  1. 資金清算業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、行ってはならない。
  2. 前項の規定は、銀行等及び日本銀行については、適用しない。

(免許の申請)

第六十五条
  1. 前条第一項の免許を受けようとする者は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した免許申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
    一 商号又は名称及び住所
    二 資本金又は基金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百三十一条に規定する基金をいう。)の額及び純資産額
    三 営業所又は事務所の名称及び所在地
    四 取締役及び監査役(委員会設置会社にあっては、取締役及び執行役。次条第二項第四号において同じ。)又は理事及び監事の氏名
    五 会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
    六 その他内閣府令で定める事項
  2. 前項の免許申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
    一 次条第二項各号に掲げる要件に該当しない旨を誓約する書面
    二 定款
    三 登記事項証明書
    四 業務方法書
    五 貸借対照表及び損益計算書
    六 収支の見込みを記載した書類
    七 その他内閣府令で定める書類

(免許の基準)

第六十六条
  1. 内閣総理大臣は、前条第一項の免許の申請があったときは、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
    一 定款及び業務方法書の規定が法令に適合し、かつ、資金清算業を適正かつ確実に遂行するために十分であること。
    二 資金清算業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、資金清算業に係る収支の見込みが良好であること。
    三 その人的構成に照らして、資金清算業を適正かつ確実に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
  2. 内閣総理大臣は、免許申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は免許申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、免許を与えてはならない。
    一 株式会社又は一般社団法人(これらの者が次に掲げる機関を置く場合に限る。)でないもの
    イ 取締役会又は理事会
    ロ 監査役若しくは委員会(会社法第二条第十二号に規定する委員会をいう。)又は監事
    ハ 会計監査人
    二 第五十六条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録を取り消され、若しくは第八十二条第一項若しくは第二項の規定により第六十四条第一項の免許を取り消され、又はこの法律若しくは銀行法等に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録若しくは免許(当該登録又は免許に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない法人
    三 この法律若しくは銀行法等又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない法人
    四 取締役等(取締役若しくは監査役若しくは会計参与又は理事若しくは監事をいう。以下この章において同じ。)のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
    イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらに相当する者
    ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
    ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    ニ この法律、銀行法等、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    ホ 資金清算機関が第八十二条第一項若しくは第二項の規定により第六十四条第一項の免許を取り消された場合又は法人がこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の免許若しくは登録(当該免許又は登録に類する許可その他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にこの法人の取締役等であった者で、当該取消しの日から五年を経過しない者その他これに準ずるものとして政令で定める者

(取締役等の欠格事由等)

第六十七条
  1. 前条第二項第四号イからホまでのいずれかに該当する者は、資金清算機関の取締役等となることができない。
  2. 資金清算機関の取締役等が前項に規定する者に該当することとなったときは、その職を失う。
  3. 内閣総理大臣は、資金清算機関の取締役等が法令又は法令に基づく行政官庁の処分に違反したときは、当該資金清算機関に対し、当該取締役等の解任を命ずることができる。

(会社法の適用関係)

第六十八条
  1. 会社法第三百三十一条第二項ただし書(同法第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十二条第二項(同法第三百三十四条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十六条第二項及び第四百二条第五項ただし書の規定は、資金清算機関が株式会社である場合には、適用しない。
  2. 資金清算機関が株式会社である場合における会社法第四百五十八条の規定の適用については、同条中「三百万円」とあるのは、「三百万円を下回らない範囲内において政令で定める金額」とする。

第二節 業務[編集]

(業務の制限)

第六十九条
  1. 資金清算機関は、資金清算業及びこれに関連する業務のほか、他の業務を行うことができない。ただし、当該資金清算機関が資金清算業を適正かつ確実に行うにつき支障を生ずるおそれがないと認められる業務について、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
  2. 資金清算機関は、前項ただし書の承認を受けた業務を廃止したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(資金清算業の一部の委託)

第七十条
  1. 資金清算機関は、内閣府令で定めるところにより、資金清算業の一部を、内閣総理大臣の承認を受けて、第三者に委託することができる。
  2. 資金清算機関は、前項の規定による資金清算業の一部の委託に関する契約には、業務を委託する相手方が当該業務を適正かつ確実に遂行するための措置を講ずる旨の条件を付さなければならない。

(業務方法書)

第七十一条
  1. 資金清算機関は、業務方法書の定めるところにより、資金清算業を行わなければならない。
  2. 業務方法書には、次に掲げる事項を定めなければならない。
    一 資金清算業の対象とする債務の起因となる取引の種類
    二 資金清算業の相手方とする者(以下この章において「清算参加者」という。)の要件に関する事項
    三 資金清算業として行う債務の引受け、更改その他の方法に関する事項
    四 清算参加者の債務の履行の確保に関する事項
    五 資金清算業の継続的遂行の確保に関する事項
    六 資金清算業及びこれに関連する業務以外の業務を行う場合にあっては、当該業務が資金清算業の適正かつ確実な遂行を妨げないことを確保するための措置に関する事項
    七 資金清算業の一部を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る業務を適正かつ確実に遂行させることを確保するための体制の整備に関する事項
    八 資金清算業に関する契約であって内閣府令で定める重要な事項を内容とするものを、外国人又は外国の法令に準拠して設立された法人を相手方として締結する場合にあっては、その旨
    九 その他内閣府令で定める事項

(資金清算業の適切な遂行を確保するための措置)

第七十二条
資金清算機関は、資金清算業により損失が生じた場合に清算参加者が当該損失の全部を負担する旨を業務方法書において定めることその他の資金清算業の適切な遂行を確保するための措置を講じなければならない。

(未決済債務等の決済)

第七十三条
  1. 資金清算機関が業務方法書で未決済債務等について差引計算の方法、担保の充当の方法その他の決済の方法を定めている場合において、清算参加者に破産手続、再生手続、更生手続、特別清算手続又は承認援助手続が開始されたときは、これらの手続の関係において、未決済債務等に関する資金清算機関又は当該清算参加者が有する請求権の額の算定その他の決済の方法は、当該業務方法書の定めに従うものとする。
  2. 前項の「未決済債務等」とは、資金清算業として清算参加者から引受け、更改その他の方法により負担した債務、当該債務を負担した対価として当該清算参加者に対して取得した債権(当該債務と同一の内容を有するものに限る。)及び担保をいう。
  3. 破産手続、再生手続又は更生手続において、資金清算機関が有する第一項に規定する請求権は破産債権、再生債権又は更生債権とし、清算参加者が有する同項に規定する請求権は破産財団、再生債務者財産又は更生会社財産若しくは更生協同組織金融機関財産に属する財産とする。

(秘密保持義務等)

第七十四条
  1. 資金清算機関の取締役等(取締役等が法人であるときは、その職務を行うべき者。次項において同じ。)若しくは職員又はこれらの職にあった者は、資金清算業又はこれに関連する業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
  2. 資金清算機関の取締役等若しくは職員又はこれらの職にあった者は、資金清算業及びこれに関連する業務の実施に際して知り得た情報を、資金清算業及びこれに関連する業務の用に供する目的以外に利用してはならない。
  3. 前二項の規定は、第七十条第一項の規定により委託を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員その他の当該委託を受けた業務に従事する者又はこれらの者であった者について準用する。

(差別的取扱いの禁止)

第七十五条
資金清算機関は、資金清算業に関し特定の者に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。

第三節 監督[編集]

(定款又は業務方法書の変更の認可)

第七十六条
資金清算機関は、定款又は業務方法書を変更しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。

(資本金の額等の変更の届出)

第七十七条
資金清算機関は、第六十五条第一項第二号に掲げる事項(純資産額を除く。)又は同項第三号から第五号までに掲げる事項のいずれかに変更があったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(帳簿書類)

第七十八条
資金清算機関は、内閣府令で定めるところにより、その資金清算業に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(報告書)

第七十九条
資金清算機関は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、資金清算業に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。

(立入検査等)

第八十条
  1. 内閣総理大臣は、資金清算業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、資金清算機関に対し当該資金清算機関の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該資金清算機関の営業所若しくは事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  2. 内閣総理大臣は、資金清算業の適正かつ確実な遂行のため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該資金清算機関から業務の委託を受けた者に対し当該資金清算機関の業務若しくは財産の状況に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該資金清算機関から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該資金清算機関の業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
  3. 前項の資金清算機関から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、同項の規定による報告若しくは資料の提出又は質問若しくは検査を拒むことができる。

(業務改善命令)

第八十一条
内閣総理大臣は、資金清算業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、その必要の限度において、資金清算機関に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(免許の取消し等)

第八十二条
  1. 内閣総理大臣は、資金清算機関がその免許を受けた時点において第六十六条第二項各号のいずれかに該当していたことが判明したときは、その免許を取り消すことができる。
  2. 内閣総理大臣は、資金清算機関がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、第六十四条第一項の免許若しくは第六十九条第一項ただし書の承認を取り消し、六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその取締役等の解任を命ずることができる。

第四節 雑則[編集]

(解散等の認可)

第八十三条
資金清算機関の資金清算業の廃止又は解散の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(財務大臣への協議)

第八十四条
内閣総理大臣は、資金清算機関に対し次に掲げる処分をすることが信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
一 第八十二条第一項又は第二項の規定による第六十四条第一項の免許の取消し
二 第八十二条第二項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令

(財務大臣への通知)

第八十五条
内閣総理大臣は、次に掲げる処分をしたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
一 第六十四条第一項の規定による免許
二 第八十二条第一項又は第二項の規定による第六十四条第一項の免許の取消し
三 第八十二条第二項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令
四 第八十三条の規定による認可

(日本銀行からの意見聴取)

第八十六条
内閣総理大臣は、この章の規定に基づく処分を行うために必要があると認めるときは、日本銀行に対し、意見を求めることができる。

第五章 認定資金決済事業者協会[編集]

(認定資金決済事業者協会の認定)

第八十七条
内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前払式支払手段発行者又は資金移動業者が設立した一般社団法人であって、次に掲げる要件に該当すると認められるものを、その申請により、次条に規定する業務(以下この章において「認定業務」という。)を行う者として認定することができる。
一 前払式支払手段(第三条第一項に規定する前払式支払手段をいう。以下この章において同じ。)の発行の業務又は資金移動業の適切な実施を確保し、並びにこれらの健全な発展及び利用者(第十条第一項第四号に規定する加盟店を含む。以下この章において同じ。)の利益の保護に資することを目的とすること。
二 前払式支払手段発行者又は資金移動業者を社員(以下この章において「会員」という。)とする旨の定款の定めがあること。
三 認定業務を適正かつ確実に行うに必要な業務の実施の方法を定めているものであること。
四 認定業務を適正かつ確実に行うに足りる知識及び能力並びに財産的基礎を有するものであること。

(認定資金決済事業者協会の業務)

第八十八条
認定資金決済事業者協会は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 会員が前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業を行うに当たり、この法律その他の法令の規定及び第三号の規則を遵守させるための会員に対する指導、勧告その他の業務
二 会員の行う前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業に関し、契約の内容の適正化その他前払式支払手段又は資金移動業の利用者の利益の保護を図るために必要な指導、勧告その他の業務
三 会員の行う前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業の適正化及びその取り扱う情報の適切な管理を図るために必要な規則の制定
四 会員のこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は前号の規則の遵守の状況の調査
五 前払式支払手段又は資金移動業の利用者の利益を保護するために必要な情報の収集、整理及び提供
六 会員の行う前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業に関する利用者からの苦情の処理
七 前払式支払手段又は資金移動業の利用者に対する広報その他認定資金決済事業者協会の目的を達成するために必要な業務
八 前各号に掲げるもののほか、前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業の健全な発展及びこれらの利用者の保護に資する業務

(会員名簿の縦覧等)

第八十九条
  1. 認定資金決済事業者協会は、会員名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。
  2. 認定資金決済事業者協会でない者は、その名称中に、認定資金決済事業者協会と誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
  3. 認定資金決済事業者協会の会員でない者は、その名称中に、認定資金決済事業者協会の会員と誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(会員に関する情報の利用者への周知等)

第九十条
  1. 前払式支払手段発行者をその会員とする認定資金決済事業者協会は、前払式支払手段発行者である会員から第十三条第一項第四号及び第五号に掲げる事項について当該前払式支払手段の利用者への周知を求められた場合には、当該事項を当該前払式支払手段の利用者に周知しなければならない。
  2. 認定資金決済事業者協会は、第九十七条の規定により内閣総理大臣から提供を受けた情報のうち利用者の保護に資する情報について、前払式支払手段又は資金移動業の利用者に提供できるようにしなければならない。

(利用者からの苦情に関する対応)

第九十一条
  1. 認定資金決済事業者協会は、前払式支払手段又は資金移動業の利用者から会員の行う前払式支払手段の発行の業務又は資金移動業に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該会員に対しその苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。
  2. 認定資金決済事業者協会は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該会員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。
  3. 会員は、認定資金決済事業者協会から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
  4. 認定資金決済事業者協会は、第一項の申出、苦情に係る事情及びその解決の結果について会員に周知させなければならない。

(認定資金決済事業者協会への報告等)

第九十二条
  1. 会員は、前払式支払手段発行者及び資金移動業者が行った利用者の保護に欠ける行為に関する情報その他利用者の利益を保護するために必要な情報として内閣府令で定めるものを取得したときは、これを認定資金決済事業者協会に報告しなければならない。
  2. 認定資金決済事業者協会は、その保有する前項に規定する情報について会員から提供の請求があったときは、正当な理由がある場合を除き、当該情報を提供しなければならない。

(秘密保持義務等)

第九十三条
  1. 認定資金決済事業者協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
  2. 認定資金決済事業者協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た情報を、認定業務の用に供する目的以外に利用してはならない。

(定款の必要的記載事項)

第九十四条
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第十一条第一項各号に掲げる事項及び第八十七条第二号に規定する定款の定めのほか、認定資金決済事業者協会は、その定款において、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は第八十八条第三号の規則に違反した会員に対し、定款で定める会員の権利の停止若しくは制限を命じ、又は除名する旨を定めなければならない。

(立入検査等)

第九十五条
内閣総理大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定資金決済事業者協会に対し、その業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該認定資金決済事業者協会の事務所に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

(認定資金決済事業者協会に対する監督命令等)

第九十六条
  1. 内閣総理大臣は、認定業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、認定資金決済事業者協会に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
  2. 内閣総理大臣は、認定資金決済事業者協会の業務の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その認定を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

(認定資金決済事業者協会への情報提供)

第九十七条
内閣総理大臣は、認定資金決済事業者協会の求めに応じ、認定資金決済事業者協会が認定業務を適正に行うために必要な限度において、前払式支払手段発行者又は資金移動業者に関する情報であって認定業務に資するものとして内閣府令で定める情報を提供することができる。

(公告)

第九十八条
内閣総理大臣は、第八十七条の規定による認定をしたとき、又は第九十六条第二項の規定により当該認定を取り消したとき、若しくはその業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

第六章 指定紛争解決機関[編集]

(紛争解決等業務を行う者の指定)

第九十九条
  1. 内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務(苦情処理手続(資金移動業に関する苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(資金移動業に関する紛争で当事者が和解をすることができるものについて訴訟手続によらずに解決を図る手続をいう。次条第三項を除き、以下この章において同じ。)の業務並びにこれに付随する業務をいう。以下この項において同じ。)を行う者として、指定することができる。
    一 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。
    二 次条第一項の規定によりこの項の指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。
    三 この法律、銀行法等若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。
    四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと
    イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらに相当する者
    ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
    ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    ニ 次条第一項の規定によりこの項の指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者
    ホ この法律、銀行法等若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
    五 紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。
    六 役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
    七 紛争解決等業務の実施に関する規程(以下この章において「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。
    八 次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約(紛争解決等業務の実施を内容とする契約をいう。以下この章において同じ。)の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の六十七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(第百一条第一項において読み替えて準用する同法第五十二条の六十七第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに第百一条第一項において読み替えて準用する同法第五十二条の六十七第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた資金移動業者の数の資金移動業者の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。
  2. 前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、資金移動業者に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。
  3. 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
  4. 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

(指定の取消し等)

第百条
  1. 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の規定による指定を取り消し、又は六月以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
    一 前条第一項第二号から第七号までに掲げる要件に該当しないこととなったとき、又は指定を受けた時点において同項各号のいずれかに該当していなかったことが判明したとき。
    二 不正の手段により前条第一項の規定による指定を受けたとき。
    三 法令又は法令に基づく処分に違反したとき。
  2. 内閣総理大臣は、指定紛争解決機関が次の各号のいずれかに該当する場合において、前項の規定による処分又は命令をしようとするときは、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
    一 前条第一項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、次条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。以下この号において同じ。)に該当しないこととなった場合又は前条第一項の規定による指定を受けた時点において同項第五号から第七号までに掲げる要件に該当していなかったことが判明した場合
    二 次条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の六十五第五十二条の六十六第五十二条の六十九又は第五十二条の七十三の規定に違反した場合(その違反行為が紛争解決手続の業務に係るものである場合に限る。)
  3. 第一項の規定により前条第一項の規定による指定の取消しの処分を受け、又はその業務の全部若しくは一部の停止の命令を受けた者は、当該処分又は命令の日から二週間以内に、当該処分又は命令の日に次条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の八十三第三項に規定する苦情処理手続又は紛争解決手続が実施されていた当事者、当該当事者以外の手続実施基本契約を締結した相手方である資金移動業者及び他の指定紛争解決機関に当該処分又は命令を受けた旨を通知しなければならない。
  4. 内閣総理大臣は、第一項の規定により前条第一項の規定による指定を取り消したとき、又はその業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

(指定紛争解決機関に関する銀行法の規定の準用)

第百一条
1 銀行法第二条第十九項から第二十二項まで及び第五十二条の六十三から第五十二条の八十三までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。次項において「銀行法規定」という。)は、指定紛争解決機関について準用する。この場合において、次項に定める場合を除き、これらの規定中次の表の上欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えるものとする。
銀行業務関連苦情資金移動業関連苦情
銀行業務関連紛争資金移動業関連紛争
加入銀行加入資金移動業者
顧客利用者
2 銀行法規定を指定紛争解決機関について準用する場合において、次の表の上欄に掲げる銀行法規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第五十二条の六十三第一項前条第一項資金決済に関する法律第九十九条第一項
第五十二条の六十三第二項第一号前条第一項第三号資金決済に関する法律第九十九条第一項第三号
第五十二条の六十三第二項第六号前条第二項資金決済に関する法律第九十九条第二項
第五十二条の七十三第三項第二号銀行業務為替取引に係る業務
第五十二条の七十四第二項第五十二条の六十二第一項の規定による指定が第五十二条の八十四第一項資金決済に関する法律第九十九条第一項の規定による指定が同法第百条第一項
第五十二条の八十四第三項同法第百条第三項
第五十二条の八十二第二項第一号第五十二条の六十二第一項第五号資金決済に関する法律第九十九条第一項第五号

第七章 雑則[編集]

(検査職員の証明書の携帯)

第百二条
  1. 第二十四条第一項若しくは第二項、第五十四条第一項若しくは第二項、第八十条第一項若しくは第二項又は第九十五条の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
  2. 前項に規定する各規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(財務大臣への資料提出等)

第百三条
  1. 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、前払式支払手段発行者、資金移動業者又は資金清算機関に係る制度の企画又は立案をするために必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
  2. 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、前払式支払手段発行者、資金移動業者又は資金清算機関に係る制度の企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、前払式支払手段発行者、資金移動業者、資金清算機関又は認定資金決済事業者協会その他の関係者に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。

(権限の委任)

第百四条
  1. 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
  2. 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(内閣府令への委任)

第百五条
この法律に定めるもののほか、この法律を実施するために必要な事項は、内閣府令で定める。

(経過措置)

第百六条
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要とされる範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第八章 罰則[編集]

第百七条

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第七条の登録を受けないで第三者型前払式支払手段(第三条第五項に規定する第三者型前払式支払手段をいう。第三号において同じ。)の発行の業務を行った者
二 不正の手段により第七条又は第三十七条の登録を受けた者
三 第十二条の規定に違反して、他人に第三者型前払式支払手段の発行の業務を行わせた者
四 第四十二条の規定に違反して、他人に資金移動業を営ませた者
五 第六十四条第一項の規定に違反して、内閣総理大臣の免許を受けないで資金清算業を行った者
六 不正の手段により第六十四条第一項の免許を受けた者

第百八条

次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五十六条第一項の規定による資金移動業の全部又は一部の停止の命令に違反した者
二 第八十二条第二項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反した者
三 第九十六条第二項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反した者

第百九条

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四十三条第一項の規定に違反して、供託を行わなかった者
二 第四十六条の規定による命令に違反して、供託を行わなかった者
三 第五十二条若しくは第七十八条の規定による帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をした者
四 第五十三条第一項若しくは第二項若しくは第七十九条の規定による報告書若しくは第五十三条第三項の規定による添付書類を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書若しくは添付書類を提出した者
五 第五十四条第一項若しくは第二項若しくは第八十条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
六 第五十四条第一項若しくは第二項若しくは第八十条第一項若しくは第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
七 第六十一条第三項の規定による公告をせず、又は虚偽の公告をした者
八 第六十五条第一項の規定による免許申請書又は同条第二項の規定による添付書類に虚偽の記載をして提出した者

第百十条

第二十六条又は第二十七条第一項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百十一条

第七十四条第一項若しくは第二項(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)又は第九十三条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第百十二条

次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条第一項の規定による届出書若しくは同条第二項の規定による添付書類を提出せず、又は虚偽の記載をした届出書若しくは添付書類を提出した者
二 第八条第一項の規定による登録申請書若しくは同条第二項の規定による添付書類又は第三十八条第一項の規定による登録申請書若しくは同条第二項の規定による添付書類に虚偽の記載をして提出した者
三 第十四条第一項又は第二項の規定に違反して、供託を行わなかった者
四 第十七条の規定による命令に違反して、供託を行わなかった者
五 第二十二条の規定による帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をした者
六 第二十三条第一項の規定による報告書若しくは同条第二項の規定による添付書類を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書若しくは添付書類を提出した者
七 第二十四条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
八 第二十四条第一項若しくは第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
九 第九十五条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
十 第九十五条の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第百十三条

第五十五条第八十一条又は第九十六条第一項の規定による命令に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

第百十四条

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第五条第三項、第十一条第一項若しくは第四十一条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十三条第一項若しくは第二項の規定による表示若しくは情報の提供をせず、又は虚偽の表示若しくは情報の提供をした者
三 第二十五条の規定による命令に違反した者
四 第三十条第二項の規定による届出書若しくは同条第三項の規定による添付書類を提出せず、又は虚偽の記載をした届出書若しくは添付書類を提出した者
五 第三十条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
六 第六十一条第七項において準用する会社法第九百五十五条第一項の規定に違反して、調査記録簿等(同項に規定する調査記録簿等をいう。以下この号において同じ。)に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は同項の規定に違反して調査記録簿等を保存しなかった者
七 第六十九条第二項若しくは第七十七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
八 第七十六条の規定に違反した者
九 第八十九条第三項の規定に違反して、その名称中に認定資金決済事業者協会の会員(第八十七条第二号に規定する会員をいう。以下同じ。)と誤認されるおそれのある文字を用いた者
十 第百条第三項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をした者

第百十五条

  1. 法人(人格のない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
    一 第百八条(第三号を除く。) 三億円以下の罰金刑
    二 第百九条(第七号を除く。) 二億円以下の罰金刑
    三 第百十条又は第百十二条(第一号、第二号、第九号及び第十号を除く。) 一億円以下の罰金刑
    四 第百七条第百八条第三号、第百九条第七号、第百十二条第一号、第二号、第九号若しくは第十号、第百十三条又は前条 各本条の罰金刑
  2. 人格のない社団又は財団について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその人格のない社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第百十六条

次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。
一 第六十一条第七項において準用する会社法第九百四十一条の規定に違反して、同条の調査を求めなかった者
二 第六十一条第七項において準用する会社法第九百四十六条第三項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 正当な理由がないのに、第六十一条第七項において準用する会社法第九百五十一条第二項各号又は第九百五十五条第二項各号に掲げる請求を拒んだ者

第百十七条

次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。
一 第三十三条第一項若しくは第六十一条第一項若しくは第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 正当な理由がないのに第八十九条第一項の規定による名簿の縦覧を拒んだ者

第百十八条

次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第十四条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第八十九条第二項の規定に違反して、その名称中に認定資金決済事業者協会と誤認されるおそれのある文字を用いた者

附則[編集]

附則(平成二一年六月二四日法律第五八号、金融商品取引法等の一部を改正する法律)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
五 第十六条の規定(資金決済に関する法律目次の改正規定(「第五十一条」を「第五十一条の二」に改める部分に限る。)、同法第三章第二節中第五十一条の次に一条を加える改正規定及び同法第九十一条に一項を加える改正規定を除く。) 資金決済に関する法律の施行の日[1]又は施行日[2]のいずれか遅い日
六 第十六条の規定(資金決済に関する法律目次の改正規定(「第五十一条」を「第五十一条の二」に改める部分に限る。)、同法第三章第二節中第五十一条の次に一条を加える改正規定及び同法第九十一条に一項を加える改正規定に限る。) 前号に掲げる規定の施行の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日[3]

(罰則の適用に関する経過措置)

第十九条
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第二十条
附則第二条から第五条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)

第二十一条
  1. 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下「改正後の各法律」という。)に規定する指定紛争解決機関(以下単に「指定紛争解決機関」という。)の指定状況及び改正後の各法律に規定する紛争解決等業務の遂行状況その他経済社会情勢等を勘案し、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成二十一年法律第四十八号)附則第三項に係る検討状況も踏まえ、消費者庁の関与の在り方及び業態横断的かつ包括的な紛争解決体制の在り方も含めた指定紛争解決機関による裁判外紛争解決手続に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
  2. 政府は、前項に定める事項のほか、この法律の施行後五年以内に、この法律による改正後の規定の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。


附則(平成二一年六月二四日法律第五九号、資金決済に関する法律)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日[1]から施行する。

(前払式証票の規制等に関する法律の廃止)

第二条
前払式証票の規制等に関する法律(平成元年法律第九十二号)は、廃止する。

(前払式支払手段発行者に係る経過措置)

第三条
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に前条の規定による廃止前の前払式証票の規制等に関する法律(以下「旧法」という。)第二条第一項に規定する前払式証票(以下単に「前払式証票」という。)以外の前払式支払手段(第三条第一項に規定する前払式支払手段をいう。以下同じ。)の発行の業務の全部を廃止した者(以下この条において「発行廃止者」という。)については、当該発行の業務の全部を廃止した前払式支払手段に関しては、この法律は、適用しない。ただし、発行廃止者が施行日以後再び当該前払式支払手段の発行の業務を開始したときは、その発行の業務を開始した日以後においては、この限りでない。
第四条
  1. この法律の施行の際現に旧法第四条第一項の届出をしている者(旧法第五条第三項の規定による届出をした者で、施行日の直前の基準日(第三条第二項に規定する基準日をいう。以下同じ。)におけるその発行した自家発行型前払式証票(旧法第二条第四項に規定する自家発行型前払式証票をいう。)の基準日未使用残高(旧法第二条第二項に規定する基準日未使用残高をいう。)が基準額(第十四条第一項に規定する基準額をいう。以下同じ。)を超えるものを含む。)は、施行日において自家型発行者(第三条第六項に規定する自家型発行者をいう。以下同じ。)となったものとみなす。
  2. 前項の規定により自家型発行者となったものとみなされる者は、施行日以後最初に到来する基準日から起算して内閣府令で定める期間を経過する日までに第五条第一項各号に掲げる事項を記載した書類及び同条第二項に規定する書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。
第五条
  1. この法律の施行の際現に旧法第六条の登録を受けている法人は、施行日において第三者型発行者(第三条第七項に規定する第三者型発行者をいう。以下同じ。)となったものとみなす。
  2. 前項の規定により第三者型発行者となったものとみなされる法人は、施行日以後最初に到来する基準日から起算して内閣府令で定める期間を経過する日までに第八条第一項各号に掲げる事項を記載した書類及び同条第二項に規定する書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。
  3. 内閣総理大臣は、前項の規定による書類の提出があったときは、当該書類に記載された第八条第一項各号に掲げる事項及び第九条第一項第二号に掲げる事項を第三者型発行者登録簿に登録するものとする。
  4. 第一項の規定により第三者型発行者となったものとみなされる法人に係る第二十七条第一項第一号の規定の適用については、同号中「第十条第一項各号」とあるのは、「第十条第一項第六号又は第九号」とする。

第六条

旧法第二十七条の規定により旧法第二条第七項に規定する第三者型発行者とみなされていた者は、その発行した前払式証票の債務の履行を完了する目的の範囲内においては、第三者型発行者とみなして、この法律の規定を適用する。
第七条
この法律の施行の際現に自家型前払式支払手段(第三条第四項に規定する自家型前払式支払手段をいう。)のみの発行の業務を行っている者(附則第四条第一項の規定により自家型発行者となったものとみなされる者を除く。)に対する第五条第一項の規定の適用については、同項中「その発行を開始してから」とあるのは、「この法律の施行の日以後において」とする。

第八条

  1. この法律の施行の際現に第三者型前払式支払手段(第三条第五項に規定する第三者型前払式支払手段をいう。以下同じ。)の発行の業務を行っている者(附則第五条第一項の規定により第三者型発行者となったものとみなされる者を除く。)は、施行日から六月間(当該期間内に第十条第一項の規定による登録の拒否の処分があったとき、又は次項の規定により読み替えて適用される第二十七条第一項の規定により当該業務の廃止を命じられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命じられた日までの間)は、第七条の規定にかかわらず、当該業務を行うことができる。
  2. 前項の規定により第三者型前払式支払手段の発行の業務を行うことができる場合においては、その者を第三者型発行者とみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、第二十七条第一項中「第七条の登録を取り消し」とあるのは、「第三者型前払式支払手段の発行の業務の廃止を命じ」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
  3. 前項の規定により読み替えて適用される第二十七条第一項の規定により第三者型前払式支払手段の発行の業務の廃止を命じられた場合におけるこの法律の規定の適用については、当該廃止を命じられた者を同項の規定により第七条の登録を取り消された者と、当該廃止を命じられた日を同項の規定による同条の登録の取消しの日とみなす。

第九条

  1. 施行日から六月を経過する日において前条第一項の規定の適用を受けて第三者型前払式支払手段の発行の業務を行っている者で、施行日以後最初に到来する基準日における基準日未使用残高(第三条第二項に規定する基準日未使用残高をいう。以下同じ。)が基準額を下回らない範囲内で政令で定める額以下のものは、次に掲げる要件のすべてに該当する場合には、施行日から六月を経過した日以後施行日から三年を経過する日までの間(当該期間内に第十条第一項の規定による登録の拒否の処分があったとき、又は第三項の規定により読み替えて適用される第二十七条第一項の規定により当該業務の廃止を命じられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命じられた日までの間とし、施行日以後最初に到来する基準日の翌日以後の各基準期間(第三条第八項に規定する基準期間をいう。以下同じ。)における第二十三条第一項第一号に掲げる額が基準額を下回らない範囲内で政令で定める額を超えることとなったときは、当該超えることとなった基準期間の末日までの間とする。)は、第七条の規定にかかわらず、当該業務を行うことができる。
    一 法人でないこと又は外国の法令に準拠して設立された法人であって、国内に営業所若しくは事務所を有しないものであること。
    二 この法律の公布の日以前から第三者型前払式支払手段の発行の業務を行っていること。
    三 施行日以後最初に到来する基準日の翌日以後の各基準期間における第二十三条第一項第一号に掲げる額が基準額を下回らない範囲内で政令で定める額を超えないこと。
  2. 前項の規定の適用を受けて第三者型前払式支払手段の発行の業務を行う者は、施行日から六月を経過した日から内閣府令で定める期間を経過する日までに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。
    一 氏名、商号又は名称及び住所
    二 前払式支払手段の発行の業務に係る営業所又は事務所の名称及び所在地
    三 人格のない社団又は財団にあっては、その代表者又は管理人の氏名
    四 施行日以後最初に到来する基準日における基準日未使用残高
    五 発行する前払式支払手段の種類、名称及び支払可能金額等(第三条第三項に規定する支払可能金額等をいう。)
    六 その他内閣府令で定める事項
  3. 第一項の規定により第三者型前払式支払手段の発行の業務を行う場合においては、その者を第三者型発行者とみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、第二十七条第一項中「第七条の登録を取り消し」とあるのは、「第三者型前払式支払手段の発行の業務の廃止を命じ」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
  4. 前条第三項の規定は、前項の規定により読み替えて適用される第二十七条第一項の規定により第三者型前払式支払手段の発行の業務の廃止を命じられた場合について準用する。
第十条
第十三条の規定は、施行日以後発行する前払式支払手段について適用する。
第十一条
1 第十四条から第十九条まで、第三十一条及び第三十二条の規定は、施行日以後最初に到来する基準日から適用し、当該基準日前における前払式証票に係る供託及び当該前払式証票の所有者の権利の実行については、なお従前の例による。
2 旧法第十三条第一項(前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)の規定により供託した発行保証金は、第十四条第一項の規定により供託した発行保証金とみなす。
3 この法律の施行の際現に前払式証票(旧法附則第七条第三項に規定する前払式証票を除く。)以外の前払式支払手段の発行の業務を行っている者(次項において「供託対象外発行者」という。)が発行した当該前払式支払手段に係る第十四条第一項の規定の適用については、同項中「二分の一」とあるのは、次の表の上欄に掲げる基準日について、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
施行日以後最初に到来する基準日六分の一
施行日後二回目に到来する基準日六分の二
4 供託対象外発行者が施行日前に発行した前払式支払手段と施行日以後に発行する前払式支払手段を区分している場合には、当該供託対象外発行者が発行した前払式支払手段に係る第十四条第一項の規定の適用については、前項の規定にかかわらず、同条第一項中「基準日未使用残高」とあるのは、「施行日以後に発行した前払式支払手段に係る基準日未使用残高」とする。
第十二条
第二十三条の規定は、施行日以後到来する基準日に係る同条第一項に規定する報告書について適用し、当該基準日前の基準日に係る旧法第十七条第一項に規定する報告書については、なお従前の例による。
第十三条
  1. 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
    一 附則第四条第二項若しくは第五条第二項の書類の提出をせず、又は虚偽の記載をして提出した者
    二 附則第九条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の記載をして届出をした者
  2. 法人(人格のない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。
  3. 人格のない社団又は財団について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその人格のない社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第十四条
この法律の施行前にした旧法又はこれに基づく命令の規定によってした処分、手続その他の行為であって、この法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、この法律の相当の規定によってしたものとみなす。

(資金清算業に係る経過措置)

第十五条
  1. この法律の施行の際現に資金清算業を行っている者(銀行等及び日本銀行を除く。)は、施行日から六月間(当該期間内に第六十四条第一項の免許の拒否の処分があったとき、又は次項の規定により読み替えて適用される第八十二条第二項の規定により資金清算業の廃止を命じられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命じられた日までの間)は、第六十四条第一項の規定にかかわらず、資金清算業を行うことができる。
  2. 前項の規定により資金清算業を行うことができる場合においては、その者を資金清算機関とみなして、第六十七条第三項、第七十四条、第七十八条、第八十条、第八十一条及び第八十二条第二項の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、同項中「第六十四条第一項の免許若しくは第六十九条第一項ただし書の承認を取り消し」とあるのは、「資金清算業の廃止を命じ」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
  3. 前項の規定により読み替えて適用される第八十二条第二項の規定により資金清算業の廃止を命じられた場合におけるこの法律の規定の適用については、当該廃止を命じられた者を同項の規定により第六十四条第一項の免許を取り消された者と、当該廃止を命じられた日を第八十二条第二項の規定により第六十四条第一項の免許の取消しの日とみなす。

(認定資金決済事業者協会に係る経過措置)

第十六条
この法律の施行の際現にその名称又は商号中に、認定資金決済事業者協会又は認定資金決済事業者協会の会員であると誤認されるおそれのある文字を用いている者については、第八十九条第二項及び第三項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

(農業協同組合法の一部改正)

第十七条
農業協同組合法の一部を次のように改正する。
以下略

(水産業協同組合法の一部改正)

第十八条
水産業協同組合法の一部を次のように改正する。
以下略

(協同組合による金融事業に関する法律の一部改正)

第十九条
協同組合による金融事業に関する法律の一部を次のように改正する。
以下略

(外国為替及び外国貿易法の一部改正)

第二十条
外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。
以下略

(信用金庫法の一部改正)

第二十一条
信用金庫法の一部を次のように改正する。
以下略

(長期信用銀行法の一部改正)

第二十二条
長期信用銀行法の一部を次のように改正する。
以下略

(労働金庫法の一部改正)

第二十三条
労働金庫法の一部を次のように改正する。
以下略

(登録免許税法の一部改正)

第二十四条
登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
以下略

(住民基本台帳法の一部改正)

第二十五条
住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。
以下略

(銀行法の一部改正)

第二十六条
銀行法の一部を次のように改正する。
以下略

(保険業法の一部改正)

第二十七条
保険業法(平成七年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
以下略

(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の一部改正)

第二十八条
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
以下略

(農林中央金庫法の一部改正)

第二十九条
農林中央金庫法の一部を次のように改正する。
以下略

(郵政民営化法の一部改正)

第三十条
郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
以下略

(犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正)

第三十一条
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)の一部を次のように改正する。
以下略

(株式会社商工組合中央金庫法の一部改正)

第三十二条
株式会社商工組合中央金庫法の一部を次のように改正する。
以下略

(金融庁設置法の一部改正)

第三十三条
金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
以下略

(罰則の適用に関する経過措置)

第三十四条
この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第三十五条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)

第三十六条
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、資金決済に関する制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 資金決済に関する法律の施行期日を定める政令(2010年(平成22年)3月1日政令第18号)により、2010年(平成22年)4月1日
  2. 金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(2009年(平成21年)12月28日政令第302号)により、2010年(平成22年)4月1日
  3. 金融商品取引法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(2010年(平成22年)3月1日政令第17号)により、2010年(平成22年)9月30日



この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。